日本人も過去には犠牲に 世界で勃発する「鉄道テロ」とは何か

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クリスマスシーズンが到来する欧米諸国では今日、イスラム過激派関連のテロへの警戒が広がり、空港や駅、宗教施設などで厳重な警備体制が敷かれている。

警備強化の欧米

パリの鉄道(画像:写真AC)
パリの鉄道(画像:写真AC)

 アルカイダやイスラム国などのイスラム過激派は組織的に弱体化し、それを支持する武装勢力はアジアや中東、アフリカで依然として活動しているもの、近年欧米諸国ではイスラム過激派による差し迫ったテロの脅威があるわけではない。

 しかし、2023年10月にイスラエルとイスラム主義勢力ハマスとの攻防が激化して以降、パレスチナ側の犠牲者数は2万人に迫り、アルカイダやイスラム国などはイスラエルや米国などに対する報復を呼び掛けている。

 そして、クリスマスシーズンが到来する欧米諸国では今日、イスラム過激派関連のテロへの警戒が広がり、空港や駅、宗教施設などで厳重な警備体制が敷かれている。一方、これまで世界では多くのテロ事件が発生してきたが、

「鉄道を狙ったテロ事件」

というものも繰り返し発生してきた。

過去の日本人被害

EU本部(画像:写真AC)
EU本部(画像:写真AC)

 近年で日本人が被害に遭った鉄道テロには、2016年3月に発生したブリュッセル同時テロがある。ベルギーの首都ブリュッセルで3月22日朝、ブリュッセル国際空港と欧州連合(EU)本部に近い地下鉄の駅でテロ事件が発生し、少なくとも34人が死亡、200人以上が負傷した。

 事件の被害者には日本人ふたりも含まれた。地元警察によると、容疑者は3人でふたりが自爆したが、その後イスラム国が今回の同時テロについて犯行声明を発表し、イスラム国への軍事攻撃に参加する国々へのさらなる攻撃を示唆した。

 その翌年4月には、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクを走る地下鉄の車内で爆弾テロが発生した。2017年4月3日、地下鉄2号線のセンナヤ広場駅と工科大学駅の間を走行中の地下鉄車内で爆発が発生し、11人が死亡、45人以上が負傷した。

 爆発発生後、運転手が独自の判断で次の停車駅まで走行させて被害者の対応を行ったため、多くの命が助かったと報じられ、別の駅では不発の爆弾1個が発見された。ロシア捜査当局は事件後、イスラム過激派組織と関係のある23歳のキルギス出身の男(自爆で死亡)を容疑者として特定したと発表し、犯行に関わったとしてほかに8人が拘束された。

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