電車のつり革「手が届かない」 SNSで女性の不満爆発、ユニバーサルデザインとはかくも難しいものか

キーワード :
, ,
私たちが普段何気なく使っている電車のつり革。そんなつり革にもさまざまな問題がある。

日本人女性の平均身長

東京さくらトラムのつり革(画像:才田怜)
東京さくらトラムのつり革(画像:才田怜)

 日本人の平均身長は食習慣や生活習慣の欧米化により伸びていくものと以前は考えられていたが、厚生労働省の調査によれば、女性の平均身長は

・40代:158.1cm
・30代:158.2cm
・20代:157.5cm

とピークアウトしたようである(令和元年国民健康・栄養調査)。今後、電鉄会社が電車の設計を行う際には、より一層女性への配慮が欲しいところだ。

 ちなみに男性の平均身長も20代、30代、40代いずれも171.5cmで今後伸びていくとは考えづらい。20~59歳の男性にとってのベストなつり革の高さは、推奨範囲内に収まる割合から見ると、

「165~168cm」

である。

 JR東日本のE233系の一般席のつり革(163cm)だと少し低い。いかにユニバーサルデザイン(障害者・高齢者も含めた万人に使いやすい設計)が難しいのか考えさせられる。

高齢者のつり革

東京さくらトラム。ホームとの間に隙間なし(画像:才田怜)
東京さくらトラム。ホームとの間に隙間なし(画像:才田怜)

 話は東京さくらトラムに戻るが、その極端に低い位置にあるつり革を、お年寄りの女性が使っているのかを観察してみた。

 そのときに実際に使っていたのは、意外にも男性たちだった。男子学生は、輪の部分に腕を通し、肘の内側をひっかけて上部のベルトをつかんでいた。きっとそれが楽な体勢なのだろう。

 お年寄りの女性に人気なのは、車いすスペースに水平に付けられたバー(手すり)だった。そこに皆でつかまっている。人によっては腕が上がらなくなってくるし、つり革につかまるよりも楽なのだろう。

 国のガイドラインでは、縦の手すりであったが言及しており、

「つり革の利用が困難な高齢者、障害者、低身長者、小児等に配慮し、立位時の姿勢を保持しやすいよう、また、立ち座りしやすいよう、縦手すりを配置する」

とある。駅に着いて、東京さくらトラムの車両とホームとの間にまったく隙間ができないのも確認した。ホームのかさ上げを行い、車両との段差もなくしたという。

 電車は路線によって

・利用目的
・客層

が違う。すべての電車が東京さくらトラムのようにするべきだとは思わないが、女性、特に高齢者に優しい電車であることがわかったので、高齢化が進む今後、参考にするとよいだろう。

全てのコメントを見る