国鉄系の脅威に? ヨーロッパの「民間鉄道会社」が市場に巻き起こした大変革とは

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上下分離方式を採用する欧州地域だが、その先には「オープンアクセス法施行」があった。オープンアクセスとは何か。

「オープンアクセス」とは何か

2社以上が切磋琢磨する相乗効果で鉄道利用者が大幅に増加したイタリアはオープンアクセスの成功例のひとつ(画像:橋爪智之)
2社以上が切磋琢磨する相乗効果で鉄道利用者が大幅に増加したイタリアはオープンアクセスの成功例のひとつ(画像:橋爪智之)

 オープンアクセスとは、一定の条件を満たせばどのような会社でも自由にその市場へ参入が可能というもので、欧州の線路を広く市場に開放し、利用客は自分の価値観に合った会社の列車を選択できる、というものである。

 少々強引な例となってしまうが、東京~名古屋~大阪の東海道本線の線路に、JR東海のみならず、小田急と近鉄、それに名鉄までもが参入して、それぞれ料金やサービス、所要時間などが異なり、利用客は自分の好みに合った鉄道会社を利用することができる、というようなものだ。航空・バス業界で、すでに行われている仕組みを鉄道に導入したといえる。

 このオープンアクセスによる民間企業参入を日本でも有名にしたのが、イタリアの高速列車イタロだ。民間出資のNTV社が運行する高速列車イタロは、それまでイタリア国内の鉄道運行を独占してきた、旧国鉄系企業トレニタリアの牙城へ割って入り、それまでになかった斬新なサービスや低廉な価格で利用客の心をつかんだ。

 危機感を抱いたトレニタリアは、同社の旗艦列車であるフレッチャロッサのサービスや価格を全面的に刷新し、これに真っ向から対決を挑んだ。結果として、ミラノ~ローマ間の鉄道利用客数は相乗効果によって大幅に増加、航空会社が苦境に陥り撤退が相次ぐ事態となった。このイタリアの事例は、オープンアクセスの成功例として常に語られる。

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