ヨーロッパの近郊車両に「2階建て」が多く使われている理由

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欧州の大都市近郊で使われる車両には、座席数の多い2階建て車両が多く用いられている。いったいなぜか。

近郊形車両の変遷

ドイツの2階建て近郊列車。日本ほど乗車人数が多くないため、都市周辺を中心に採用例が多い(画像:橋爪智之)
ドイツの2階建て近郊列車。日本ほど乗車人数が多くないため、都市周辺を中心に採用例が多い(画像:橋爪智之)

 日本で近郊列車というと、昭和世代の人たちのイメージではクロスシートを装備した、デッキのない三つドアの車両を思い浮かべるのではないだろうか。

 国鉄およびJRの車両区分の一種として示されている近郊形車両とは、

「客室に出入口を有し、横型(ロングシート)および縦型腰掛(クロスシート)を備え、都市近郊の運用に適した性能を有する車両形式」

と定義されている。

 近年、首都圏に導入されているE217系以降の新型車両では片側四つドアを採用し、座席も編成の大半がロングシートで占められるようになったが、これは首都圏の混雑が激しく、クロスシートが適さないと考えてのことだ。

 通勤圏が拡大したため、通勤電車の運行範囲も拡大しているが、それもあって4ドアロングシートの通勤形車両との区分けが曖昧になりつつあり、車両も路線ごとに多少の仕様変更を加えつつ、形式は共通化されている。

 地域によって求められる装備や仕様が異なる日本では、国鉄分割民営化以降、JR各社が地域の実情に適合した車両を運行するようになった。混雑がさほどひどくない首都圏以外、関西圏を含む他の地域の車両は、今も3ドアクロスシートが比較的多いように感じる。車両は新型に置き換えられたが、基礎となる部分に大きな変化はないようだ。

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