「駅前商業施設」にはどんな店が欲しい? 少子化が進む日本で本当に求められる業態とは

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鉄道事業者にとって、沿線人口の減少は事業収入の減少に直結する。今後、沿線住宅地の施設整備にはどのような機能が盛り込まれるのか。

商業施設が育む地域の新しい生活機能

MA-TO(画像:タウンキッチン)
MA-TO(画像:タウンキッチン)

 鉄道事業者系のデベロッパーが沿線の住宅地に開発する商業施設は、立地の利便性を向上させ、結果、新たな住民を呼び込み、昼間人口を含む沿線人口を増加させる。

 沿線住民のニーズに合わせ、スーパーに総菜・菓子などの食物販、アパレル・生活雑貨・服飾雑貨・書籍などの物販、レストラン・ファストフードなどの飲食施設、サービス関連の店舗が集積し、その地域の住みやすさを支えてきた。

 利便性だけでなく、街の“顔”となる駅前開発によってタウンブランディングが確立することも少なくない。バブル期にはイメージ向上のために高級感のあるアパレルや雑貨店を積極的に導入することもあった。

 景気後退後はアパレルの床負担力の低下もあるが、ニーズの拡大から生活サービス系店舗が増加。子育て支援がいわれはじめた2000年代には、駅前や駅近くの高架下に保育園や学童保育・アフタースクールなどの子育て支援系施設が導入されるようになった。

 駅前商業施設は沿線住民のニーズに敏感であり、その地域やその時代のニーズを映す“鏡”ともいえるだろう。近年、高架下も含め駅前・駅周辺商業施設には地域住民の住みやすさを支える商業機能・生活サービス機能だけでなく、今までにない新しい機能が導入されるようになっている。

 JR中央ラインモール(現・JR中央線コミュニティデザイン)は

・JR武蔵境駅、
・JR東小金井駅
・JR武蔵小金井駅
・JR西国分寺駅
・JR国立駅

の駅~高架下に「ののわ・ののみち」を開発したが、高架下施設である「ののみち」には回遊歩行空間に加え、飲食・物販施設や保育園・デイサービス・シェアサイクルなどのほか、

・KO-TO(コート、小金井市の創業支援施設「東小金井事業創造センター」)
・PO-TO(ポート、店舗・工房・ショールームを併設できるシェアオフィス)
・MA-TO(マート、自分のオリジナル商品を作って販売することができるシェア施設)

といった創業支援・起業支援施設が入っている。地域での起業を促進し、地域経済を活性化していくための施設である。

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