北陸新幹線延伸で「飛び地路線」誕生も、富山・福井・石川の対応が全然異なるワケ
JR西日本からの移管
富山県を走るJR西日本の城端(じょうはな)線と氷見(ひみ)線が第三セクターのあいの風とやま鉄道(富山市)に移管される。“飛び地路線”では利用促進が難しいためだが、石川、福井の両県に同じ動きは見えない。
「城端線・氷見線の事業主体をJR西日本からあいの風とやま鉄道へ変更する」
富山県民会館(富山市)で10月下旬に開かれた第3回城端線・氷見線再構築検討会。会長の新田八朗富山県知事が運行会社の移管を宣言した。
城端線は富山県高岡市の高岡駅から南砺(なんと)市の城端駅に至る29.9km、氷見線は高岡駅と氷見市の氷見駅を結ぶ16.5km。富山県西部を貫く通勤、通学の足だが、北陸新幹線が2015年に石川県金沢市まで延伸し、並行在来線の北陸本線が経営分離されたことで、JRグループの他路線と接しない飛び地路線になった。
沿線の地方自治体は両線の活性化に向け、LRT転換を模索したが、3月に費用負担が大きいとして断念した。新たな方策として沿線自治体から提案されたのが、富山県内の北陸本線運行を受け継いだあいの風とやま鉄道への移管。
これを受け、あいの風とやま鉄道は財源確保など5項目の受入条件を提示した。その条件を沿線自治体とJR西日本が受け入れたことにより、移管が正式に合意された。
年内に再構築実施計画策定へ
移管時期は
「10年以内」
となる見込み。11月後半に開催される検討会の次回会合で富山県が再構築実施計画の素案を提示、年内に計画をまとめて10月施行の改正地域交通法で新設された国の交付金を申請する。
協議は“お役所仕事”と思えないほどスピーディーに進んだ。改正地域交通法に規定された国の再構築協議会制度がスタートする10月を待たずに独自の検討会を発足させたのは、LRT断念から4か月後の7月。初会合で富山県が年度内の計画策定を提案したのに対し、夏野修砺波市長が「年内」と指摘してその場で方針転換させる一幕もあった。
富山県広域交通・新幹線政策課は
「城端線と氷見線の直通化を進める方向だが、JR西日本の路線のままより、あいの風とやま鉄道に移管したほうが実行しやすい。一体化で利用促進もやりやすくなる」
と狙いを説明した。