東海道新幹線「車内販売」今月末終了 これを“時代の流れ”で済ませていいのか? 削がれる旅情、進む合理化 改めて考える
欧州鉄道の車内販売

ただ、同じ新幹線を利用するにしても、
・仕事
・旅行
の場合では利用者が求めるものは異なるだろう。
新幹線のなかで、車窓から富士山や京都の東寺の五重塔を眺めながら、その場の雰囲気で欲しいものを購入したいと考える人もいるかもしれない。2019年に北海道新幹線などの車内販売終了が発表された際、鉄道に詳しい放送大学の原武史教授は次のように語っていた。
「JR各社がスピード至上主義に走るなか、車窓を眺めながら駅弁を味わうなど、プロセスを楽しむ鉄道旅行の魅力が失われてきている。乗客も車内では居眠りするかスマホをいじるかで、鉄道旅行を楽しもうとはしていない」(『朝日新聞』2019年2月21日)
ヨーロッパに目を転じると、
「車内販売は優等列車の当然のサービス」
という感覚が維持されているようだ。
欧州鉄道フォトライターの橋爪智之氏は、ヨーロッパで車内販売を完全に廃止した国は、ベネルクス3国(オランダ・ベルギー・ルクセンブルク)のように国土が極端に狭い国ばかりで、ほかの国では規模の違いはあっても、きちんと継続させていると指摘している。また、ヨーロッパでは
「採算はほとんど取れておらず、よくてとんとん」
という状況でも、各社は車内販売を続けようとしていると指摘している。
JR東海は10月12日、東海道新幹線の利用者の要望に応えるため、新幹線ホーム上の自動販売機の種類を拡充し、ドリップコーヒーとアイスクリームの販売も開始すると発表した。JR東海が、東海道新幹線でのスマートフォンによる注文サービスを、グリーン車だけではなく普通車にも広げることは難しいだろうか。
親友との長旅からの帰り。新幹線の車内でビールとつまみを買って、一杯やるぜいたく。なくなっても「また車内で買える」という安心感。皆さんは、そんな“有り難さ”を感じたことはないだろうか。