三菱自動車「中国市場」撤退へ 世界第2位の経済大国に、もはや経済「棚上げ論」は通用しないのか
大手自動車メーカーの三菱自動車が、世界最大の自動車市場である中国から撤退する方針であることが明らかになった。かつての「政治は政治、経済は経済」な関係性は失われたのか。
中国の経済台頭、日本との対立変遷
しかし、21世紀に入り、中国が経済アクターとして徐々に台頭して以降、日中の力関係や互いの認識は徐々に変化していった。
2005年4月、小泉首相(当時)が靖国神社を参拝したことで、中国では反日感情が高まり各地で日本製品の不買運動が起こった。
2010年9月には、尖閣諸島で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突して中国人船長が逮捕された。これがきっかけで、中国は対抗措置として日本向けのレアアースの輸出規制に打って出た。
2012年9月には、野田政権(当時)が尖閣諸島の国有化を宣言したことがきっかけで、中国は日本からの輸入品の通関を厳格化した。また、中国各地の都市では反日デモが発生し、日本企業のオフィスや工場などが放火、破壊、略奪などの行為に遭った。
今日、中国は既に世界第2位の経済大国となっているが、力を付けた今日の中国は昔のように日本からの支援を必要とせず、
「自らにボールがある」
という意識で対日行動をとっている。そして、それは台湾やオーストラリアに対しても同様で、2国間の政治関係が冷え込んだ際、中国は
「経済を武器化する」
ことで攻撃を加えている。
蔡英文政権下で中台関係が冷え込むなか、中国は蔡英文政権が欧米と関係を強化することに不満を強め、これまでに台湾産のパイナップルやかんきつ類、高級魚ハタなどの輸入を一方的に停止した。
新型コロナウイルスの真相究明や中国西部新疆ウイグル自治区での人権問題でオーストラリアと中国の関係が悪化するなか、中国はオーストリア産の牛肉やワインなど特産品の輸入を突然停止した。