三菱自動車「中国市場」撤退へ 世界第2位の経済大国に、もはや経済「棚上げ論」は通用しないのか

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大手自動車メーカーの三菱自動車が、世界最大の自動車市場である中国から撤退する方針であることが明らかになった。かつての「政治は政治、経済は経済」な関係性は失われたのか。

日中関係の不透明性と企業への影響

日中関係のイメージ(画像:写真AC)
日中関係のイメージ(画像:写真AC)

 そして、日本との間でも貿易摩擦が拡大している。

 日本は米国と足並みをそろえる形で7月下旬、先端半導体の製造装置など23品目で中国への輸出規制を開始したが、中国はそれに強く反発し、8月から半導体の材料となる希少金属ガリウム・ゲルマニウムの輸出規制を強化した。

 この規制開始の際、中国共産党系のメディアは、

「米国とその同盟国は中国によるガリウム・ゲルマニウムの輸出規制に込められた不満や怒りを認識せよ」

という社説を掲載したが、この同盟国は事実上日本を指しており、経済や貿易面での中国の対日不満は強まっている。その後、福島第1原発の処理水放出を巡り、中国は日本産水産物の輸入を全面的に停止したが、これもその延長線上で考えられよう。

 今日の日中関係は以前のように、「政治は政治、経済は経済」という関係ではない。政治が経済に直接介入し、その影響を企業が最も受ける時代である。

 そして、ガリウム、ゲルマニウム、水産物のように、どの業界業種が重い影響を受けるか予見することは難しく、その不確実性、不透明性のなかで日本企業は中国でビジネスを行っている。自動車メーカーなどは

「あらゆる材料や部品」

を必要とするので、それだけサプライチェーンの安定が重要となるが、その分悪影響を受けやすいだろう。

 今日の日中関係と企業が置かれる状況が、長期的に続くことは間違いない。尖閣諸島や台湾情勢、先端半導体など今日日中の間には多くの課題があり、今後さらに状況が先鋭化していく恐れがあることから、日本企業としてはできる限り

「脱中国依存」

を図り、東南アジアなどにシフトしていく必要があるだろう。

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