EUが「トヨタ潰し」を画策? モータージャーナリストの私がホリエモンの“暴走主張”に同意できない理由

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教育系ユーチューバーとして人気の中田敦彦氏が先日、自身のチャンネルで堀江貴文氏の著書をベースに自動車産業の未来について語った。その妥当性を検証する。

EVは「走るスマートフォン」

テスラCEOのイーロン・マスク(画像:AFP=時事)
テスラCEOのイーロン・マスク(画像:AFP=時事)

 ここでは三つのキーワードが挙げられている。それは

・ソフトウエア
・電池
・シミュレーション

である。堀江氏いわく、最新のEVはいってみれば“走るスマートフォン”で、スマホであれば何よりもソフトウエアの開発とアップデートが重要となる。これは今までの自動車開発にはなかった要素であるという。

 さらにEVはその開発においてシミュレーションがエンジン車と比較して容易であると。加えて電池の開発も含めて、地道に技術力を蓄積して来た伝統企業に対して新規参入企業が有利な面が大きいと主張する。

 これらの主張も、大筋では間違ってはいない。遅れを取り戻すには相当の時間もかるだろう。しかしだからといって、

「トヨタがテスラはともかくBYDに対しても劣る」

とはいい過ぎだろう。

 さらに中田氏は続ける。HVとFCVに注力していたトヨタにとって最大の逆風となったのは欧州連合(EU)の存在であると。

 ご存じのとおり、EUは2035年までに圏内で販売する新車は、全てEVとするという案を2023年2月に発表し自動車業界を震撼とさせた。堀江氏によれば、これは地球温暖化対策の名を借りた“トヨタつぶし”であるという。

 ここまで話が飛躍すると、正直なところ堀江氏の主張に対して疑問符を抱かざるを得ない。

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