「サポカー限定」「条件付き」免許がちっとも日本で普及しない、実にシルバーな理由

キーワード :
, ,
2022年5月。安全運転支援装置を搭載した車両のみを運転可とする「サポートカー限定免許制度」が開始され、運転免許返納前の“第3の選択肢”として注目をあびた。

普及しないワケ

サポートカー限定免許推進のリーフレット(画像:警察庁)
サポートカー限定免許推進のリーフレット(画像:警察庁)

 サポートカー限定免許の普及促進を理解するポイントは次のとおりである。

・新車に対する安全運転支援装置の装着率は約8割で新車購入時のきっかけにもなる
・サポートカーの認知は得られているがサポートカー限定免許の制度は知らない
・サポートカー限定免許に切り替える税制面のメリットがない
・サポートカー限定免許の切り替えに事務手数料や事務手続きの手間がかかる

 新車に対する安全運転支援装置の装着率は8割程度とされ、高齢者の新車購入理由に「先進安全技術が搭載されている」と回答する高齢者が増加傾向にある。

 DeNA SOMPOカーライフ(東京都渋谷区)が2万3813人を対象とした調査によると、全世代において「サポートカー」の認知度は8割を超えている。また60代以降のサポートカーへの乗り換えについて約8割が希望するなど、サポートカーに対する理解・認知度は良好だ。

 一方、サポートカー限定免許の認知度は低い傾向にある。大阪大学大学院の葉健人助教授が75人を対象とした研究報告では、同免許における認知度は

「12%」

と低い結果だ。

 運転免許をサポートカー限定免許に切り替えるには、事務手数料が数千円発生し事務手続きも慣れない。税制面のメリットもないため手間だけがかかる。つまり、実質的にサポートカーのみ運転することでサポートカー限定免許と同じ結果が得られ、メリットがないことがサポートカー限定免許の普及・認知が進まない原因だ。実際、警察庁の専門家会議においても

「サポートカー限定免許はメリットがないと普及は進まない」

と指摘されている。

 別の観点では、海外において時間、場所、地域など環境条件を指定した「条件付き免許」が制度化され、同乗者の有無も条件にする地域もある。

全てのコメントを見る