買ったばかりの新車なのに、走行距離が「0km」じゃないワケ

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待ちに待った新車の納車。簡単な説明を受け、運転席に乗り込むと、総走行距離を示すオドメーターが「0km」になっていないことに気づく。新車なのに、なぜ少しでも走っているのだろうか。

出荷前に行われる品質検査

ナンバープレート(画像:写真AC)
ナンバープレート(画像:写真AC)

 クルマは完成したら、そのまま出荷してユーザーに届けるというものではない。クルマに限らず、工業製品は出荷前に品質検査を受ける。

 出荷されたクルマは車検を受け、ナンバープレートが交付され、走行可能となる。そのためには、全国各地の陸運支局に持ち込まれ、国が定めた安全基準に適合しているかどうかをチェックされなければならない。

 出荷後、公道を走るためには車検を受け、ナンバープレートを交付されなければならない。そのためには、各地域の陸運支局に車両を持ち込み、国が定めた保安基準に適合しているかどうかをチェックしなければならない。

 日本自動車会議所によると、2022年度の新車販売台数は438万5649台だが、中古車検査(中古車登録)や継続検査(車検)の台数も含めると、この数字は数倍に跳ね上がる。これに陸運支局が対応するのは難しい。

 そのため、国産車には「型式指定」という認定制度がある。申請された車両型式を、必要な手続きを経て国土交通大臣が指定する。この認証を受けたクルマは、工場で製造される際に車検と同等の検査を受け、「完成検査終了証」が発行されるため、陸運支局で検査を受ける必要がなくなる。

 この完成検査を受けるためには、工場周辺を数km走行しなければならない。これに加えて、出荷後の指定場所への輸送時には構内を走行するため、メーター走行距離は数km増える。さらに、品質担保のためにテストコースでテストが行われることもある。その場合、走行距離が数十kmの車両が出荷されることになるが、入念なテストが行われていることを考えれば、安心感は増すかもしれない。

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