北海道新幹線の並行在来線「バス転換」という荒唐無稽 試算に無理筋、もはや国の介入は避けられないのか
2030年に予定されている札幌延伸に向けて、北海道新幹線の工事が着々と進んでいる。その一方で、廃止が予定されている並行在来線区間の代替バスの運行形態は不透明なままだ。新幹線開業後、沿線自治体に巨額の負担を押し付けるという強引な政策は、いまや破綻の兆しを見せている。
バス本数の増加必須
最大の問題は、バスがほぼ満員状態での走行を前提にしていることだ。試算によると、乗客数は1便あたり52人で、平均乗車率は80%以上である。鉄道ならまだしも、バスでこれでは大変な混雑である。
さらに、1日のうちで最も混雑する午前7時台には、平均乗車率は95%に達する。この数字は、乗客がバスに乗るために1回乗車を見送らなくてはならないことを示唆している。したがって、実際に鉄道から移行してくる乗客に対応するには、バスの本数をかなり増やす必要がある。通勤・通学が大変になるだけでなく、道路の混雑も避けられない。
バス転換に抵抗した余市町は、転換の条件として鉄道並みの大量輸送を要求した。しかし、その輸送力は提供されず、机上の空論が繰り返されてきた。しかも、増便は容易なことではない。代替バスは余市~小樽間を運行する北海道中央バスが担当するものと思われるが、同社との話し合いはほとんど行われていない。
何より、車両は用意できても、肝心の運転手の確保が容易ではない。道内各地で運転手不足が顕在化している。
函館バスなど4社が運行する函館~札幌間の高速バス「高速はこだて号」は、10月から1日8往復を4往復に半減することを決めた。帯広市内を運行する十勝バスも、8月のダイヤ改正で利用者の少ない路線の便数を大幅に減らした。十勝バスは平日の運行に137人の運転手が必要だが、現在は124人しかいない。仮に代替バスを運行したとしても、鉄道に代わる十分な輸送力は確保できない。