自転車の「青切符」導入 危険運転に効果てきめんも、摘発強化より情報周知が先決だ

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警察庁は自転車の交通違反に対する新たな対策として、交通反則通告制度の適用に向けた検討を開始した。交通反則通告制度とは要するに、交通違反に対して青切符を発行し、反則金を科すことで処理する制度である。

情報弱者への配慮必要

パトカー(画像:写真AC)
パトカー(画像:写真AC)

 現時点では、青切符制度の導入に向けた検討の開始について、具体的な内容は明らかにされていない。どのように導入されるかは、今後の調査結果次第ということだろう。警察庁の有識者検討会の第1回会合は8月30日、都内で開かれている。

 歩行者、自転車、バイク、クルマ、そして最近では電動キックボードも加わり、日本の交通環境は単なる混合交通のレベルを超えて、ますます混沌(こんとん)としてきている。このような状況下で、交通弱者と交通強者の道路上での位置づけを明確にし、それぞれの交通をより安全にするためにはどうすればいいのだろうか。

 確かに反則金制度の導入や取り締まりの強化は、意識改革を促す上で即効性があるだろう。多くの人は

「ならばより注意しよう」

と前向きに反応するかもしれない。しかしその一方で、新しい法規制についていけない高齢者が一定数いることも無視できない。また、自転車に運転免許がないことや、法規の周知徹底自体が十分ではないことも問題だろう。

 そうした情報弱者対策も含めて、青切符制度を導入するには、広報対策や新たな教育機会の提供が不可欠だろう。導入するのであれば、最初は警告と指導に力を入れるのもひとつの方向性だ。自転車は手軽で便利な交通手段であるだけに、官民が一体となって前向きに状況を改善し、正しい利用が行われるように期待したい。

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