新興EVビンファストが米国上場 初値上昇で期待高まるも、冷静に考えたら「前途多難」すぎるワケ
念願のNASDAQ上場

ベトナムの新興EVメーカー、ビンファストは8月15日、待望の米国・ニューヨーク市場への上場を果たした。1株当たりの評価額10ドルに対して初値は22ドル、上場初日の取引終了時には37.06ドルまで上昇した。時価総額は850億ドルで、米自動車大手GMやフォードを上回った。
ビンファストの新規株式公開(IPO)には紆余(うよ)曲折があり、2022年12月にニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を申請したが、2023年5月に申請を取り下げ、代わりに特別目的買収会社(SPAC)との合併によるIPOを目指すことになり、上場市場もNYSEからNYSEアメリカンに変更された。
7月中旬には、米国での新規株式公開を目的としたSPACであるブラックスペード・アクイジションとの合併が1年延期され、株式上場も延期されたことが発表されたが、7月28日にノースカロライナ工場の起工式が行われ、その合併について進展があった。
8月10日にはSPACの株主総会が招集され、合併承認決議が採択される見込みであることが発表されいた。
念願の米国株式市場への上場を果たしたビンファストだが、前途は多難と言わざるを得ない。
米生産拠点がついに着工

ビンファスト・ノースカロライナ工場の起工式は7月28日に行われ、ノースカロライナ州知事のロイ・クーパー・ノース氏、駐米ベトナム大使のグエン・クオック・ズン氏を含む米国、連邦および州政府関係者が出席した。総投資額は20億ドルで、同州最大の経済開発イニシアチブとされている。
ベトナム国外初の車両生産工場は2025年に生産を開始する予定で、年間生産能力は15万台。
・VF7
・VF8
・VF9
の三つのEVモデルの生産が計画されている。第2段階のバッテリー生産も計画されているが、当初の生産開始予定から半年以上遅れている。
2026年の北米での販売目標は、ベトナムからの輸入60万台を含む年間75万台だが、販売台数は期待通りに伸びるのだろうか。