高速道路の逆走はなぜ起こる? 「逆走防止」官民連携の挑戦とは
過去5年間の高速道路での逆走発生件数は年間約190件と横ばいで推移しており、高速道路で発生する全事故のうち、逆走事故は重傷・死亡に至る可能性が4倍も高いことから、新たな対策が求められている。
高速道路で逆走が起こる理由

高速道路で発生する逆走事故には、ドライバーが
・進行方向を間違えていることに気づいて故意に逆走する
・出入り口を間違えて逆走する
・高速道路を走行していることに気づかずに逆走する
場合の3パターンがある。
「進行方向を間違えていることに気づいて故意に逆走する」「出入り口を間違えて逆走する」も標識や道路標示の見落としによるもので、逆走事故の約6割を占め、3割は高速道路上の状況や逆走の自覚がない認知症の疑い、1割はその他のケースである。
つまり、逆走事故の半数近くは、道路標識などに対する認識不足が関与している。あるいは、誤った認識が問題になっている。
近年、このような周辺状況の把握と事故率との関連性が「有効視野」として議論されている。有効視野とは、諸説あるが、「情景の中心を見ながら同時に情報を処理できる領域」とされている。
例えば、障害物を避けながら歩きながら本を読むことだ。つまり、有効視野とは、本の文字を見ながら周囲の障害物の視覚情報を認識できる範囲のことである。有効視野は加齢とともに狭くなり、認識できる範囲も狭くなる。有効視野が事故率を大きく予測するという報告もある。
高速道路の出入り口では、道路標識、進行方向の判断、道路状況の認識など、視覚情報の処理が非常に多く、道路標識の見落とし、進行方向の判断ミス、逆走につながる。
現在、有効視野を改善する試みは研究段階にある。このため、画像認識看板、音声、字幕、警告灯を使ったシステムが、高速道路の逆走対策として開発されている。