隅田川で毎晩行われる「橋のライトアップ」 関東大震災からの復興が生み出した“未開拓の観光資産”をご存じか

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夜の隅田川には、花火大会当日だけでなく、毎晩行われる大きな魅力がある。しかし、もどかしいことに十分に生かされておらず、フルに体験できる日は限られている。

隅田川に架かる10か所以上の橋

勝鬨橋。震災復興橋梁ではないが、1940年完成の跳開橋。隅田川の水上バスより。2022年1月撮影(画像:内田宗治)
勝鬨橋。震災復興橋梁ではないが、1940年完成の跳開橋。隅田川の水上バスより。2022年1月撮影(画像:内田宗治)

 2023年7月、4年ぶりに開催された隅田川花火大会は約103万人の来場者を集め、大成功を収めた。実は夜の隅田川には、花火大会当日だけでなく、毎晩行われる大きな魅力がある。しかし、もどかしいことに十分に生かされておらず、フルに体験できる日は限られている。

 まず、その魅力が何なのかを説明しよう。それは隅田川に架かる10か所以上の橋のライトアップで、そのひとつひとつが「橋の美術館」と呼ばれるほど個性的なのだ(詳しくは後述)。

 ちなみに、花火大会の最中だけは、花火の演出のために橋の照明が消される。多くの人は、橋の華麗な光景を知らずに帰宅したことだろう。これがライトアップがあまり知られていない理由のひとつかもしれない。

 しかし、その魅力が十分に生かされていないのは、花火大会のときにライトアップが消されてしまうからではなく、隅田川の橋には歴史としてのストーリーがあり、見方によってはとても美しく、楽しみ方もあるのだが、後述するように体験できる日が限られているからだ。

 ライトアップは日没15分後から23時まで行われている。例えば蔵前橋の例を見てみよう。

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