隅田川で毎晩行われる「橋のライトアップ」 関東大震災からの復興が生み出した“未開拓の観光資産”をご存じか
夜の隅田川には、花火大会当日だけでなく、毎晩行われる大きな魅力がある。しかし、もどかしいことに十分に生かされておらず、フルに体験できる日は限られている。
外国人観光客に人気
さて、冒頭で魅力が生かされていないと述べた点である。橋がライトアップされる時間帯での船の運航がない日が多いのである。
例えばお台場海浜公園から浅草までのコースでは、日中1時間に1~2便程度あるのだが、最終が17時頃発。日の短い冬などだとちょうどいいのだが、それ以外はまだ明るい時間帯で終わってしまう。また、浅草など発着でナイトクルーズもあるが、毎日運航ではない。これだけ高いポテンシャルのある観光コースにも関わらず、誠に残念、もったいない話である。
隅田川の航路は、主に東京都公園協会の「東京水辺ライン」と東京都観光汽船の隅田川ラインの2社が運航している。屋根が展望デッキになっていて見晴らしがよい船も就航している。永代橋など低い橋をくぐる時、頭上すぐ上が橋桁となり、デッキにいる船員が大声で「しゃがんで!」と叫ぶ。そうしたスリルも味わえる。外国人観光客が特に喜んでいるのが印象的だった。
日本政府は観光立国を標ぼうし、外国人観光客誘致のためさまざまな策をとっている。東京の観光資源の創造もそのひとつで、2016年から赤坂迎賓館(港区)を一般公開しカフェ、休憩機能の整備などを行ってきた。
だが西洋貴族趣味を色濃く感じさせる赤坂迎賓館へと外国人を案内するよりも、東京の歴史をさまざまな形で実感できる隅田川の橋梁(および河畔)めぐりの方が、日本を知ってもらうのにはずっと有意義で、満足度も高いだろう。
民間で行うのが難しいなら、社会実験の名のもとに一定期間安価で行い、それを広く告知して浸透度をはかるなど、さまざまな方策があるはずだ。