危険すぎる京成本線荒川橋梁 周囲より「3.7m低い」堤防で首都水没危機、しかも工事が2037年度まで終わらない

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京成本線の荒川橋梁は都内の荒川「最大の弱点」とされている。いったいなぜか。

荒川沿いの「3.7m低い」堤防

京成本線荒川橋梁。平常時の同地点。2023年2月撮影(画像:内田宗治)
京成本線荒川橋梁。平常時の同地点。2023年2月撮影(画像:内田宗治)

 東京都内で荒川の「最大の弱点」とされているところがある。京成本線の荒川橋梁(京成関屋~堀切菖蒲園間、足立区・葛飾区)だ。大雨の際、この堤防が決壊し、広範囲にわたり市街地が水没する恐れがある。荒川の流れに沿って延々と高く築かれている堤防が、この地点のみ突然「3.7m低くなっている」ためである。

「これまで経験のないほどの大雨が降るおそれ」との予報のもとに襲来した令和元年東日本台風(台風19号、2019年)。暴風雨がおさまってすぐ、筆者(内田宗治、フリーライター)はこの地点に駆けつけた。

 広い河川敷が広がる普段の光景とは一変し、川幅いっぱいに茶色く濁った水が流れており、堤防の最上部まで目測であと3mくらいの所まで水位が上がっている。堤防の上から川の反対側を見れば、川の水位より低い位置に人家の屋根が連なっていた。

23区の「3分の1」が浸水する恐れ

京成本線荒川橋梁(画像:葛飾区)
京成本線荒川橋梁(画像:葛飾区)

 後の発表によれば、京成本線荒川橋梁の橋げたまであと1.2mの高さまで流れが迫り、まさに堤防決壊危機一髪といった状況だった。

 岩淵水門(東京都北区)での測定では、この時の荒川の最高水位が標高6mを超えている。堤防をはさんで広がる市街地の標高は2~3mしかない。

 もしも荒川が堤防決壊等で氾濫すると、最悪のケースでは、都内23区の

「3分の1」

にも及ぶエリア(区域内の昼間人口395万人)が浸水すると想定されている。最も深い浸水となる北千住駅付近では5m以上にもなるという。

 この時の台風19号では、荒川の流域平均雨量が446mm(3日間)に達した。1947(昭和22)年のカスリーン台風時の436mm(同)を上回り、戦後最大の雨量だった。

 地球温暖化により大量の雨をもたらす台風やゲリラ豪雨が近年増えているのは、多くの方が実感されているとおりである。

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