「EVシフト」に揺れる自動車産業 ホンダの八千代工業売却が示す「業界ダブルパンチ」の厳しい現実とは

キーワード :
, , ,
ホンダにとって重要な存在だった八千代工業を、なぜホンダは手放す決心をしたのか。そこには将来的な生き残りを賭けた、いわゆるサプライチェーンの大規模な改変計画があった。

TOB開始は2023年10月

ホンダのロゴマーク。2022年11月8日撮影(画像:AFP=時事)
ホンダのロゴマーク。2022年11月8日撮影(画像:AFP=時事)

 ホンダは2023年7月4日、自社の連結子会社である八千代工業(埼玉県狭山市)の売却を発表した。

 売却先は、インドの自動車部品製造大手であるサンバルダナ・マザーソン・グループである。今後、ホンダは株式公開買い付け(TOB)を実施する。買い付け予算は165億円。八千代工業の株式は、買い付け完了後に190億円でオランダにあるマザーソンの子会社に株式の一部を売却する計画である。TOB開始は2023年10月が予定されている。

 この売却劇は、多くの自動車部品関係、および市場関係者を驚かせるものだった。八千代工業という社名は、一般にはなじみが薄いものだったかもしれない。

 しかしホンダにとってみれば、創業間もない1950年代から指定工場として下請けの中核を任せてきた存在だ。取引を行うこととなったきっかけは、ホンダと八千代工業、双方の創業者の個人的な親交に端を発する信頼関係だったとも言われている。

 そんな親密な関係と確かな技術力をバックに、八千代工業は次第にホンダの関連会社としてその名を知られて行くこととなる。その過程でホンダの軽自動車の大部分を始め、完成車のほかにもさまざまな重要部品の生産を手掛けてきた。ホンダによる出資比率がそれまでの34.5%から50.4%に引き上げられ連結子会社となったのは、2006(平成18)年のことである。

 そんなホンダにとって極めて重要な存在だった下請けの中核会社を、なぜホンダは手放す決心をしたのか。そこには、ホンダにとって将来的な生き残りを賭けたいわゆるサプライチェーンの大規模な改変計画があった。

全てのコメントを見る