「EVシフト」に揺れる自動車産業 ホンダの八千代工業売却が示す「業界ダブルパンチ」の厳しい現実とは

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ホンダにとって重要な存在だった八千代工業を、なぜホンダは手放す決心をしたのか。そこには将来的な生き残りを賭けた、いわゆるサプライチェーンの大規模な改変計画があった。

他社への波及懸念

マレリのウェブサイト(画像:マレリ)
マレリのウェブサイト(画像:マレリ)

 気になるのは、今後こうした動きは他社にも波及するのではないかということだ。

 実際のところ、いわゆる世界的なEVシフトだけが原因ではなく、新型コロナウイルス感染症の影響で生産が滞った結果、経営難に陥った自動車部品メーカーは大手/中小を問わず数多い。代表的な例としては日産系の有力サプライヤーだったマレリや河西工業などが挙げられる。

 自動車メーカーがグローバルな生き残り策を図るために、それまで良好な関係を築いて来た関連サプライヤーとの関係をある意味ドライに切る――。水面下での動きまで含めれば、おそらくホンダだけの問題ではない。

 ちなみにサプライチェーンを構成する有力下請けが弱体化してしまうというのは、過去のリーマンショック(2008~2009年)などでも見ることができた。しかし今回は新型コロナウイルス感染症にプラスしてのEVシフトという、言ってみれば

「ダブルパンチ」

である。

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