プロ野球のヤクルトはなぜ「スワローズ」を名乗るのか? また、球団ファンを増やすために有効な“JRとの協働”とは

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球団のヤクルト、なぜチーム名は「スワローズ」なのか。意外と知られていない、その歴史をたどる。

「スワローズ」の謎

「つばめ」マークを車体に掲示したJRバス東北の車両(画像:大塚良治)
「つばめ」マークを車体に掲示したJRバス東北の車両(画像:大塚良治)

 2023年6月10日(土)、ベルーナドーム(埼玉県所沢市)で埼玉西武ライオンズ対東京ヤクルトスワローズの「日本生命セ・パ交流戦 2023」が行われた。

 5回終了後のイニング間イベントには、ヤクルトのマスコット「つば九郎」が登場し、ヤクルトファンのみならず、西武ファンからも大きな拍手がおくられた。つばめ(スワロー)をモチーフにした愛嬌(あいきょう)のある姿は、他球団ファンからも親しまれている。

 さて、そんなつば九郎を要するヤクルトだが、なぜチーム名は「スワローズ」なのか。今回はその謎について辿ってみよう。

 スワローズは、1950(昭和25)年に日本国有鉄道加賀山之雄総裁(当時)の「当時の不安な世相を少しでも明るくとの意図」(東京ヤクルトスワローズのウェブサイト)の下、国鉄球団株式会社が運営する「国鉄スワローズ」として創設された。

 スワローズの名は国鉄50万職員から募集し、審査の結果決まった(堤哲『国鉄スワローズ 1950-1964 400勝投手と愛すべき万年Bクラス球団(Kindle版)』交通新聞社、2010年)。

 その後、1965年に同球団の経営権がサンケイ新聞とフジテレビへ譲渡され、球団呼称(球団名)を「サンケイスワローズ」へ改める。翌1966年には、手塚治虫氏原作の人気アニメ『鉄腕アトム』を採用し、球団名を「サンケイアトムズ」へ変更した。

 1969年には「ヤクルトグループに経営継承され」(ヤクルト球団広報部)、球団名をニックネームのみの「アトムズ」とした(同ウェブサイト)。

 翌1970年の「ヤクルトアトムズ」への変更を経て、1974年に球団名を「ヤクルトスワローズ」へ改称し、スワローズの名称が復活した(同ウェブサイト)。一時期「アトムズ」の時代はあったものの、スワローズの名称は、ヤクルトへ受け継がれている。

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