プロ野球のヤクルトはなぜ「スワローズ」を名乗るのか? また、球団ファンを増やすために有効な“JRとの協働”とは
神宮球場へのアクセスとその時間

つば九郎神社のある信濃町駅については、ヤクルトの本拠地である明治神宮野球場(神宮球場)ウェブサイト・同球団のウェブサイトともに、徒歩12分と案内されている。同球場には、複数の最寄り駅があるが、同球場ウェブサイトと同球団ウェブサイトによると、所要時間が最も短いのは、徒歩約5分と記載されている銀座線外苑前駅である。同球場ウェブサイトの「アクセス/駐車場」タブのアイコンも、銀座線の車両になっている。
ただ実際は、同球場の「入口」ごとに、周辺駅との間の所要時間は異なる。そこで、最新の神宮球場アクセスの実態を確かめるため、別の平日ナイトゲーム終了後に、信濃町駅から同球場「16入口」を経由して、外苑前駅まで歩いた。
信濃町駅の目の前の歩道橋を渡り、聖徳記念絵画館の前を通り抜けて、徒歩約9分で外野席側の入り口である「16入口」に到着した。神宮球場と信濃町駅の間は、広い歩行空間が比較的長く続くため、スムーズに通行できることが多い。
それに対して、神宮球場と外苑前駅の間の最短ルートは事実上「スタジアム通り」の両側の歩道のみで、しかも歩道が神宮外苑と比べると広くないため、混雑時は他の歩行者との距離が近接しやすい。
「16入口」から外苑前駅まで徒歩で向かった際、狭い歩道に多くの帰宅客が集中し歩行速度が抑制されたこともあり、所要時間は9分ほどを要した。少なくとも、「16入口」と周辺駅との間の所要時間は、同球場ウェブサイト・同球団ウェブサイト記載のそれとは異なる。
外苑前駅からは浅草行きに乗車したが、この日は試合の序盤にヤクルトが大量得点をあげて大勢を決したことから、試合終了前に球場を後にした観戦客も多かったと推察され、外苑前駅ホームの混雑は通常時とそれほど変わらないように見えた。
複数の最寄り駅がある球場の鉄道アクセスにおいては、球場と駅までの所要時間、歩道の歩きやすさや混雑度合い、天候、勤務先や通学先・自宅の最寄り駅などの複数の変数が、駅選択に影響を及ぼす。都内在住の30代ヤクルトファンの女性は
「少し前までは東京メトロ沿線に住んでいたため外苑前駅を利用することが多かったが、つい最近JR沿線に引っ越したため、今後は千駄ヶ谷駅か信濃町駅を利用する機会が多くなると思う」
と話す。ナイトゲームの場合は、勤務先や学校などから球場へ直接向かう人も多いため、自宅最寄り駅からとは異なるルートで球場入りする人も多い。