乃木坂46メンバー主演ドラマ『トラックガール』は時代錯誤だ 若い女性をマスコット化し続ける、痛々しいまでの“昭和おじさん目線”とは
フジテレビが運営する動画配信サービスFODで、新ドラマ『トラックガール』が7月から放送される。問題はないのか。
おじさんの貧困な発想

トラックドライバーに焦点を当てたエンターテインメントといえば、1975(昭和50)年から計10作品が作られた映画『トラック野郎』シリーズが有名だ。
そのシリーズ第1作の『トラック野郎・御意見無用』には早速、女性トラックドライバー「モナリザお京」が登場している。男に負けずに業界で気丈に振る舞うも、その内面はおじさんが好きな、弱さが垣間見える「昭和の女性」そのものだ。
シリーズのヒットをきっかけに、各種メディアではトラック業界をポジティブに捉える企画が数多く登場した。ただし、そのほとんどのネタは
・高収入
・女性ドライバー
にフォーカスされていた。
膨大なコレクションで知られる雑誌専門図書館・大宅壮一文庫(東京都世田谷区)で関連資料を見て驚いたが、1980年代から20世紀末まで、本当にネタはこればかり。しかも、性別による役割分担が思いきり決まっている。
・男性ドライバーの記事:高収入で、サラリーマンより気軽だと吹聴する
・女性ドライバーの記事:容姿を褒める。の一種フェティシズムを含んで称賛する
「トラガール促進プロジェクト」もこの延長線上にある。なにしろ、ウェブサイトには
・未経験から安心してスタートしやすい!
・育児や家事の両立の道も
といった言葉ばかりが並んでいるのだ。改善したのは「容姿を褒める」がなくなったくらいだ。
結局のところ、おじさんが頭のなかで勝手に想像した「働く女性像」を、当たり障りのない言葉で表現しているにすぎないのだ。