乃木坂46メンバー主演ドラマ『トラックガール』は時代錯誤だ 若い女性をマスコット化し続ける、痛々しいまでの“昭和おじさん目線”とは
自衛隊員より少ない女性割合

まず、業界の現状を記しておこう。
全日本トラック協会の発表資料『日本のトラック輸送産業-現状と課題-2022』によると、「輸送/機械運転従事者」に占める女性の割合は
「3.6%」
と絶望的に低い。
ちなみに、2022年度の『防衛白書』によれば、自衛官のうち女性は全体の約8.3%である。“圧倒的な男社会”とイメージされる自衛隊よりも、女性ドライバーの割合は少ないのだ。
前述のとおり、「2024年問題」はさまざまなメディアを最近にぎわせているが、問題の根本である人手不足の解消方法は、なんら見いだされていない。そんななか、あたかも優れた方法であるかのように吹聴される対策がふたつある。それは、
・外国人労働者の受け入れ
・女性労働者の増加
である。
インターネット上で近年散見される関連コンテンツの背景には、こうした事情が関係しているのは想像に難くない。それらを通じて旧来の業界イメージが刷新されること自体は間違いではない。ただ、ここには大きな問題が存在しているのだ。大きな問題とは、ずばり、
「若い女性のマスコット化」
である。
「○○女子」「○○ガール」などは最たるものだろう。人手不足で男性従事者の割合が多い業界だけでなく、同様の状況にある趣味ジャンルで当たり前に見られる現象だ。アイコンはたいてい
「若く、はつらつとした、笑顔の美人」
である。社会問題に敏な人なら「またか……」と思うに違いない。
業界の「若い女性のマスコット化」を加速させているひとつが「トラガール促進プロジェクト」である。その音頭を取っているのは、なんと国土交通省である。国だ。同プロジェクトのウェブサイトには「トラックドライバーをめざす女性応援サイト」と書かれている。
「トラガール」という何の工夫もない言葉に突っ込みたいところだが、それ以上に気になるのは、汗も苦労も感じさせない「若く、はつらつとした、笑顔の美人」の写真ばかりをサイトに集めていることだ。率直にいえば
「おじさん目線」
丸出しでウェブサイトが作られているのである。開いた口がふさがらない。