二輪・自動車部品メーカーが「電動アシスト自転車」市場に相次いで新規参入するワケ

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近年、電動アシスト自転車市場が急成長を遂げている。そんななか、これをビジネスチャンスと捉えた企業の新規参入も相次いでいる。いったいなぜか。

新規参入相次ぐ

電動アシスト自転車(画像:写真AC)
電動アシスト自転車(画像:写真AC)

 近年、電動アシスト自転車市場が急成長を遂げている。そんななか、これをビジネスチャンスと捉えた企業の新規参入も相次いでいる。

 自転車産業振興協会(東京都品川区)によると、電動アシスト自転車の国内生産は2019年が57万台・485億円で、2022年には60万台・577億円と増加している。

 特に金額の伸びは著しく、平均単価は2019年から2022年までで約14%上昇。背景には、ロードバイクなど高級志向製品への需要の高まりがある。

 世界に目を転じても、電動アシスト自転車は「eBike」と呼ばれ、欧州、米国などを中心に市場は急成長中だ。新規参入する企業も増えており、ゼネラルモーターズやハーレーダビッドソン、ボッシュなどが続々と新製品を投入している。

ホンダは後付け電動アシスト

SmaChariのイメージ(画像:本田技研工業)
SmaChariのイメージ(画像:本田技研工業)

 2023年に入り、ホンダとカワサキモータースが相次いで新製品を発表している。

 ホンダ(東京都港区)は3月、自転車を電動アシスト化・コネクテッド化する「SmaChari(スマチャリ)」を発表。自転車に後付けできる電動アシストユニットとスマートフォンアプリを通じて、電動アシストシステムの出力最適化や走行データ管理、位置情報共有、バッテリー残量表示などの各種コネクテッド機能を利用できる。

 SmaChariを搭載した電動アシスト自転車「RAIL ACTIVE-e」は、ワイズロード各店で9月から販売予定で、価格22万円だ。

 後付け電動アシストというコンセプトは、ホンダ創業者の本田宗一郎氏が1947(昭和22)年に「Honda」ブランドで製品化した自転車用補助エンジンをほうふつさせる製品でもある。

「既存の自転車に動力を取り付ける」

という点が共通しており、本田氏が自転車をこいで遠くまで買い出しに行く妻を楽にしてあげたいという思いから着想したのに対し、今回の開発のきっかけは、通学路に高低差50m以上の坂がある高校が全国に約45%あり、

「高校生の通学を助けたい」

という思いから開発着手に至ったようだ。ホンダは今後、全国の高校生に向けたアプローチを始めていくとしている。

カワサキは3輪電動アシスト車

「noslisu(ノスリス)」シリーズ(画像:カワサキモータースジャパン)
「noslisu(ノスリス)」シリーズ(画像:カワサキモータースジャパン)

 一方、カワサキモータースジャパン(兵庫県明石市)は電動3輪ビークル「noslisu(ノスリス)」シリーズとして、電動アシスト自転車およびフル電動仕様の3機種を5月から順次発売を開始した。価格は36万3000円からだ。

 前2輪・後1輪のユニークなレイアウトで、安定感や快適性、操る楽しさなどを提供する。独自技術である2輪ステア機構を採用し、アシストモーターにはメンテナンス性と耐久性に優れたインホイールモーターを搭載するなど、先進技術が織り込まれている。

 これらはいずれも社内公募制度から生まれた新規事業のアイデアだったようだが、二輪車メーカーとしてのブランド力を生かし、電動アシスト自転車市場でどのような旋風を巻き起こすのか、注目していきたい。

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