不正乗車は「運賃50倍」徴収 厳しすぎるヨーロッパの罰金事情、日本も追随すべきか?

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日本における不正乗車の罰金は「3倍」だが、ヨーロッパではそれより遥かに高く設定されているのをご存じか。

いかなる理由も通用しない罰金

黒のジャンパーにジーパン姿の男性ふたり。一般客を装っているが、彼らは覆面検札係だ(画像:橋爪智之)
黒のジャンパーにジーパン姿の男性ふたり。一般客を装っているが、彼らは覆面検札係だ(画像:橋爪智之)

 なお、この罰金はどのような状況であっても、有無をいわさず徴収される。たとえそれがわざとではなく、

「有効期限が切れている」

ことに気付かないで乗ってしまった場合でも言い逃れはできない。恥ずかしながら、筆者(橋爪智之、欧州鉄道フォトライター)も定期券が切れていることを失念していて、罰金を払わされたことがある。いかなる理由も通用しないのだ。

 ところで不正乗車するようなやからといえば、乱暴を働くような者も珍しくはない。不正をとがめたら、暴力を振るってくるかもしれないが、検札係は大丈夫なのだろうか。

 これはあくまで私見だが、検札係を担当している人の多くは、かなり屈強な体格を持った男性が多く、それも必ず2~3人がペアを組んで検札しており、場合によっては警察官が一緒に乗り込んでくることもある。

 実際、乗客のひとりが検札に不服で、わめき散らしている状況に遭遇したことがあるが、瞬く間に取り押さえられ、その後駆け付けた警察官に取り囲まれて連行されていった。

日本での導入における課題

改札のない入口を通過していく乗客。有効なチケットを所持していれば打刻する必要はない(画像:橋爪智之)
改札のない入口を通過していく乗客。有効なチケットを所持していれば打刻する必要はない(画像:橋爪智之)

 もっとも、欧州でもすべてうまくいっているわけではなく、例えばオランダのアムステルダムや英国のシェフィールドのように、あまりに不正乗車が多過ぎて対応しきれなくなり、車掌がチケットを売る昔の方式へ戻した例もある。

 信用乗車方式は、文字通り

「鉄道会社と乗客の間の信用」

で成り立っているものなので、それがなくなった時点でシステムそのものが崩壊してしまう実例でもある。

 人件費削減へ向けた取り組みの中で、信用乗車方式のメリットは大きいが、日本の場合は現行ルールのままでは鉄道会社側のメリットが薄くなってしまうため、導入を促進させるためには、まず旧態依然とした罰金規定の改正が今後の課題となってくるだろう。

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