新幹線「函館駅乗り入れ」はなぜ有権者の支持を集めたのか? その背景にあった、裏切られ続けた自治体蹂躙の過去
函館市長選で「新幹線乗り入れ」という公約はなぜ有権者の支持を集めたのか。その背景には新幹線に期待しつつも裏切られてきた函館の歴史がある。
大泉新市長の圧勝
北海道新幹線を函館駅に乗り入れさせる札幌延伸工事が進む北海道新幹線で、新たな計画が胎動している。4月の市長選で「実現に向けた調査」を公約に掲げた大泉潤氏(俳優の大泉洋氏の実兄)が、現職に大差をつけ当選したためだ。
新幹線乗り入れという公約が有権者の支持を集めた理由はなにか。その背景には新幹線に期待しつつも裏切られてきた函館の歴史がある。
今回の函館市長選は、4選を目指す現職の工藤寿樹氏(無所属、自民・公明支持)と、元市の保健福祉部長の大泉氏(無所属、立憲支持)の一騎打ちとなった。その結果、以下の通り大泉氏の大勝に終わった。
・工藤寿樹:2万3483票
・大泉潤:9万8174票
ちなみに投票率は58.15%である。選挙に関心のある無党派層はおろか工藤陣営の票が大泉氏に流れて、圧倒的な差を付けたことがうかがえる。
地方首長選では現職が圧倒的に有利だが、そのセオリーを覆したのは、大泉氏が掲げた公約の目新しさだ。
大泉氏が選挙中繰り返した公約は、
・第2子以降の保育料無償化
・新小学1年への10万円支給
・北海道新幹線のJR函館駅乗り入れ調査の実施
である。
地元住民や鉄道に関心を持つ人を除けば、
「なぜ、いまさら新幹線なのか」
と思うのではないか。