新幹線「函館駅乗り入れ」はなぜ有権者の支持を集めたのか? その背景にあった、裏切られ続けた自治体蹂躙の過去

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函館市長選で「新幹線乗り入れ」という公約はなぜ有権者の支持を集めたのか。その背景には新幹線に期待しつつも裏切られてきた函館の歴史がある。

北海道新幹線、利用低迷の理由

函館駅(画像:(C)Google)
函館駅(画像:(C)Google)

 ここまでの歴史を見ると、函館市は新幹線の乗り入れが実現しなかった上に、駅名まで妥協せざるを得ないという遺恨が残る結果に終わったことがわかる。

 北海道新幹線の開業以降、新幹線の函館駅乗り入れ構想は、言及されることがなくなった。しかし、今回の市長選の結果は、いまだに函館市では新幹線の乗り入れを求める声が根強く続いていることを明らかにしたのである。

 いまなお函館駅乗り入れが求められる理由は、利用者の低迷である。北海道新幹線の乗車率は開業した2016年度の32%をピークに、当初予想の26%を下回る23~24%で推移し、コロナ禍では一時8%台にまで落ち込んでしまった。利用が低迷している理由のひとつには、新函館北斗駅と函館駅の

「アクセスの悪さ」

が挙げられている。乗り換えで長時間待たなくてはならないのであれば、函館駅まで新幹線を乗り入れたほうがマシというわけだ。

 また、札幌延伸にともなう経営分離の問題では、函館~長万部間の存廃協議が続いているが、このなかでは現在、はこだてライナーが運行し函館市と新幹線を結んでいる函館~新函館北斗間の扱いも議論が続いている。現在、行われている議論では区間の多くを貨物専用線とする意見が出る一方で、函館~新函館北斗間では鉄路の維持を求める意見も根強い。

 2023年8月に道が行った試算によれば、旅客を残し第三セクターで維持した場合、函館~長万部間全線維持の場合の累積赤字は30年で

「816億円」

とされている。函館~新函館北斗のみの場合は510億円で、全線バスの場合は157億円となっている。どの選択をしても大赤字なのだ。

 これならば、いっそ函館に乗り入れることで経済活性化に期待する市民が出ることも納得できる。しかし、仮に新幹線が乗り入れたとして函館市には、それを起爆剤として経済を活性化する方法があるのか。その点については、改めて論じていきたい。

 なお5月17日、JR北海道の綿貫泰之社長が同日の定例会見で、函館駅乗り入れについて

「(函館市から)具体的な要請があれば、鉄道事業者の立場で調査に対して必要な協力をしたい」

と述べたと、北海道新聞が報じている。

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