「電動キックボード反対」の声にみる日本社会の“停滞感” 危険デメリットに捉われ、変化を拒んではいけない

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7月から、日本でも電動キックボードが運転免許なしで乗れるようになる。賛否渦巻くなか、そこに見えたのは日本の停滞感だった。

キックボードに見る日本社会の停滞感

メリット・デメリットのイメージ(画像:写真AC)
メリット・デメリットのイメージ(画像:写真AC)

 筆者(森口将之、モビリティジャーナリスト)も電動キックボードは何度か乗ったことはある。

 タイヤが小径なので路面の凸凹に影響されやすいし、ステップボードは幅が狭いので踏ん張りが効かないなど、自転車と比べれば不安定だと感じている。でもそれを理由に禁止するほど危険な乗り物ではない。

 それに不安定さと引き換えに、長さは短く幅は狭いので、路上の専有面積は小さい。狭い区域のなかで多くの人が移動する都市部では、この点はメリットになる。

 ゆえに筆者は、特定小型原付の導入自体を否定するつもりはない。最近の日本はこれに限らず、変化に直面したときにデメリットばかりを挙げて

「変わることを拒もうとする動き」

が見られるが、日本社会に停滞感があるのはこうしたマインドも理由だと考えている。まずやってみるという気持ちは大切だ。

 ただし同時に、パリのように導入後に出てきた課題に対して、行政や警察などがきめ細かく対応し、それでも事故が増え続けるようならシェアリングを禁止するなどの措置を取ることもまた重要だと考えている。

 とりわけ日本は多くの欧米諸国とは違い、歩道を走行することを認めようとしているわけで、それが原因で弱い立場にある歩行者が犠牲になることは避けてほしいし、そういう状況が頻発するようであれば、厳格な処分を下していいと思っている。

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