「自動運転の導入を気軽に」 ヤマハ発・ティアフォーなどが新型EVで搬送サービス そのカラクリは
屋内と屋外のいずれも対応
ヤマハ発動機と、自動運転のソフト開発を手掛けるティアフォー、そして両社設立の合弁会社eve autonomyの3社が、自動運転の新型EVを使った搬送サービスを2022年夏から始める。2021年9月1日(水)、3社は記者向けの合同説明会を開催し、この新サービス「eve auto」を発表した。
eve autoは、工場など閉鎖空間での搬送の自動化ニーズに対応する。eve autonomy代表取締役の米光正典氏は新型EVの特長の一つとして「屋内と屋外といった環境変化に強いこと」を挙げた。また、走破性、牽引・積載性能にも配慮したという。
EVは、工場やレジャー施設、競技場などで使われているヤマハ発の「ランドカー」をベースに開発された。リチウムイオン電池を採用し、工場などの24時間稼働にも対応するよう電池は交換できるようになっている。一定の段差や傾斜も走破し、天候や周囲の変化などにも対応。1500kgまでの牽引能力もしくは300kgまでの積載能力を有する。EVの稼働時間は、ヤマハ発研究開発統括部長の飯田実氏によると「牽引や積載などの条件で大きく変わるが、8時間程度は無給電でいけるよう目指している」という。
サービスの契約形態は、自動運転の導入ハードルを高くする高額の初期費用と、長期間の導入工事をクリアすることを目的に、サブスクリプション型を採用。EVそのものをはじめ、運行管理システムの導入や更新、定期メンテナンス、トラブル対応などを「コミコミ」で提供する。契約期間は最短で「数か月間」。料金は台数や期間で異なるが、最も安い場合で月30万円台前半からとのこと。2022年夏のサービス開始に向けて契約や料金の詳細を詰めていくとしている。
米光氏はサブスク形態にした理由について「自動運転の導入ハードルを極力低くしたい」と説明。「自動運転の搬送サービスを気軽に試していただき、どなたでも使えるようにしたい」ため、買い切りではなくサブスク形態にしたという。「お客様の『とりあえず自動運転を導入してみる』『試行錯誤する』というアプローチを支えたい。自動運転にまつわる煩わしさから解放するようにしたい」と明かす。たとえばeve autoだと、よく変わる工場のレイアウトに合わせて、PCの三次元地図でルートを編集できるという。
工場内や複数の建物間、広い敷地のあるプラントでの物品の搬送などを想定しており、オペレーションの効率化や人為的事故の減少などを期待できる効果として挙げている。自動運転技術の研究開発プラットフォームとしても活用が可能という。販売目標は2022年夏から3年間で500~1000台。
サービスの提供地域は日本からだが、労働者の賃金がある程度高い米国を皮切りに海外展開も視野に入れている。