スターフライヤー3年3か月ぶり黒字転換に見る、シン「プレミアム・エアライン」誕生の兆し 大手との価格競争乗り越えられるか

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スターフライヤーが2023年1月に発表した2022年度の第3期四半期は、3年3か月ぶりに黒字に転換した。その背景に迫る。

3年3か月ぶりに黒字に転換

スターフライヤーの機体(画像:スターフライヤー)
スターフライヤーの機体(画像:スターフライヤー)

 スターフライヤー(福岡県北九州市)が2023年1月に発表した2022年度の第3期四半期は、3年3か月ぶりに黒字に転換した。

 同期の搭乗率は、

・10月:73.6%
・11月:73.4%
・12月:69.5%

と辛うじて70%前後を維持している。4~7月までが60%前後だったため、約10%の回復となっており、このラインが損益分岐点であるようだ。

 2022年の第3四半期に関しては、スターフライヤー以外の各航空会社とも燃料高に苦しみながらも黒字転換に成功している。格安航空会社(LCC)として比較されるスカイマークの同時期の搭乗率は80%前後、エア・ドゥは同じく70%前後となっている。この2社が同じく黒字になっていることからも、LCCと言われるエアラインの採算ラインが伺える。

 ちなみにスターフライヤーはじめ、これらエアライン各社は「LCCではない」という意見もあるが、本稿での区分は、国連の専門機関である国際民間航空機関(ICAO)のカテゴリーに準拠して進めることとしたい。

 スターフライヤーの路線運航開始は2006(平成18)年3月。それ以来、プレミアムなサービスを「提供する価値」としており、スカイマーク、エア・ドゥとは異なるイメージを打ち出し続けている。海外で複数のエアラインがプレミアム戦略で失敗したとされているのにも関わらず、その姿勢を継続しているのである。

 日本の航空会社としては、早くからエアバス社の機体を採用し、一目でわかる世界初の黒いデザイン。前後ピッチのゆとりのある本革シート、その前には優れたエンターテインメントシステム、USB充電口の設置やタリーズコーヒーの機内サービスなど。

 経営はこの20年間にさまざまと変わったものの(2009年6月に創業者の堀高明社長が退任。2014年4月に米原愼一社長が退任など)、堀氏を中心として作りあげたプレミアムなサービスは脈々と受け継がれている。

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