スターフライヤー3年3か月ぶり黒字転換に見る、シン「プレミアム・エアライン」誕生の兆し 大手との価格競争乗り越えられるか

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スターフライヤーが2023年1月に発表した2022年度の第3期四半期は、3年3か月ぶりに黒字に転換した。その背景に迫る。

2022年3月には日本初のサービス開始

スターフライヤーの定期便ペット同伴搭乗サービス「FLY WITH PET!」(画像:スターフライヤー)
スターフライヤーの定期便ペット同伴搭乗サービス「FLY WITH PET!」(画像:スターフライヤー)

 この長期にわたる赤字経営の背景には、世界規模での物流投資がある。同社黒字化の2年前、震災1年後の日本でも2012(平成24)年3月に、被災エリアである宮城県に物流拠点とカスタマーセンターを設け、同年5月には創業者のジェフ・ベゾスが来日し、現地入りする姿が報じられた。

「顧客至上主義」経営は、聞こえは良いものの、多くの場合、米アマゾン・ドット・コムのように長期間利益を出せない可能性がある。

 それを打破し長期的視野で成功に導くには、大震災の余震が続くエリアに訪問するといったジェフ・ベゾスのような、まれな創業者の行動力や信念が必要なのであろう。また「提供する価値」の長期間の継続のためには、経営者が不変であることが望ましいと一般的には言われている。

 それに対してスターフライヤーの事例は、まれな例とも言える。前述のとおり、創業者・堀氏は2009年に赤字経営の責任をとり退任。その後の経営主体も二転三転し、2014年から筆頭株主であるANA出身の社長体制が松石禎己氏をはじめ直近まで続くが、同社の「提供する価値」であるプレミアムなサービスは、その間もずっと継続されているからだ。

 なかでも、コロナ禍に就任した白水政治・前社長時代、2022年3月にスタートした日本初「定期便ペット同伴搭乗サービス」は、“継続”の良い例だろう。

 同様のサービスは欧米系のエアラインに多く見られるが、当初は

「コロナ禍での空席を1席でもカバーするためでは」

という声も聞かれた。そのようななか、町田修・新社長体制となった以降の同年10月30日からも「対象便数、同伴匹数について、羽田-北九州線全便、各便2匹」までに拡大するに至っている。

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