小さなボディにセダンの風格! 60年代を駆け抜けたマツダ「キャロル」、今も古びぬその魅力とは
1962年2月、マツダ・キャロルとネーミングされた軽自動車がデビューを飾った。その軌跡をたどる。
キャロル誕生は1962年

オート3輪のトップメーカーとして知られていた東洋工業は、オート3輪市場が縮小化の傾向にあったのを鑑み、1958(昭和33)年、まずはマツダ・ロンパーという名の小型トラックとともに商用4輪小型トラック車市場に参入した。
ほどなくして東洋工業は4輪乗用車への参入も計画、ここで最初に手掛けたのはマツダR360という名の軽自動車だった。時に1960年5月のことである。このモデルはリーズナブルな価格とキュートなスタイリングが評価され人気モデルとはなった。
しかしそのデザインだが、大人の乗車は無理な、小さなリアシート兼ラゲッジスペースを備えるだけの、事実上の2シーターだった。そのため、ライバルの
・スバル360
・スズライト360
などのフル4シーターモデルに対して、主にスペースの問題から折からの好景気の中拡大が予想されていたファミリーユーザー層の支持をとりつけるまでには至っていなかった。
そこで新たに投入することとなったのが、満を持してフル4シーターとしたニューモデルである。1962年2月、マツダ・キャロルとネーミングされた軽自動車がデビューを飾った。
このモデルは、前年の1961年に開催された第8回全日本自動車ショーに参考出品されたマツダ700(試作小型乗用車、後のファミリアとは別物)をスケールダウンしたものと見ることができた。パワートレインのレイアウトは当時の軽自動車ではスタンダードともいえた、RRことリアエンジン/リアドライブ。これは前作のR360クーペと同じだった。