危険すぎる京成本線荒川橋梁 周囲より「3.7m低い」堤防で首都水没危機、しかも工事が2037年度まで終わらない
京成本線の荒川橋梁は都内の荒川「最大の弱点」とされている。いったいなぜか。
「災害対策の鉄則」守られず
京成電鉄としても、手をこまぬいたままではない。洪水の危険が近づくと、これまでも電車を止め橋梁部分の線路に土のうを積むなどして、応急的な対応をしてきた。
2022年5月27日には、最終電車が通り過ぎた後、右岸側(足立区側)で訓練実験を行っている。線路に土のうを積み止水板を設置し、それにかかる時間を計った。越水防止対策の手順や所要時間、関係機関との連携方法等の確認・検討を行うものである。結果は設置から完了まで、人員46名を投入する人海戦術で所要時間は29分だった。
翌月には左岸側(葛飾区側)でも同様の訓練実験が行われた。こちらでは、土のうを積むより短時間で作業ができるゴム発泡体材質の覆工板も使用して、止水版の背面には、川から水をポンプでくみ上げて注水した大型水嚢(すいのう)を設置した。人海戦術だけではない機械化も含まれているが、結果は、人員46人により52わかかった。
災害発生時にこうした作業を迅速にしてくれる人たちには頭が下がるが、危険がわかっている箇所は事前に対処して、人的資源は想定外の箇所に起きた問題の対処等にふりむけるのが、
「災害対策の鉄則」
である。そうしたことが守られていない。
荒川には鉄道や道路の橋が多数架かる。例えば、歴史の古い路線の例として、JR総武線荒川橋梁は周辺区間の線路増が行われた1972(昭和47)年に架替が行われている。
また、京成本線荒川橋梁より地盤沈下の激しかった京成押上線荒川橋梁では、1991(平成3)年に船が橋げたにぶつかる事故が起きている。それが工事を急がせたこともあり1999年に架替工事が完了している。