「熊本空港」活性化、県はなぜコロナ終息待たずに動くのか? 背後にあった4兆円以上の経済効果とは
新ターミナルビルは3月23日開業へ

2016年の構想で打ち上げた内容には、既に実現したものや実現に向けて動き始めた計画がいくつかある。実現したのは
「熊本空港の民営化」
だ。空港の運営権は2020年、コンセッション方式を導入して、三井不動産など11社でつくる新会社の熊本国際空港に移管された。
新しい旅客ターミナルビルは3月23日に開業する。地上4階建て延べ約3万7500平方メートルで、食と旅をテーマに飲食や土産物など約30店が集まる商業施設を併設する。現在の国際線ターミナル跡地には地域に開かれた広場が整備される予定だ。
熊本空港は国際線4路線のうち、韓国の格安航空会社(LCC)ティーウェイ航空の仁川線だけが運行を再開した状態だが、熊本国際空港は
「ターミナルビルは新路線が次々に開設されても増築可能な構造にしている」
と説明した。
アクセス鉄道完成「12年かかる」

熊本市内の交通渋滞対策や空港アクセスの改善も動き始めた。
熊本県は渋滞対策として、熊本都市圏に3本の都市高速を建設する計画で、2023年度当初予算に1億円超の調査費を計上した。熊本市中心部から空港まで約20分、九州自動車道まで約10分で接続することを目指している。
アクセス鉄道は、豊肥本線の肥後大津駅から空港へつなぐ計画だ。熊本県とJR九州が2022年11月に確認書を交わした。線路などの施設を自治体が保有する上下分離方式を検討するとしている。
ただ、3月中旬の熊本県議会高速交通ネットワーク整備推進特別委員会で坂本弘道県交通政策課長は
「完成までに少なくとも12年かかる」
との見通しを明らかにしている。
「産業のコメ」といえば米ソ冷戦期に鉄鋼だったが、現在その地位を占めるのは半導体だ。熊本県はTSMCの進出で一気に世界から注目される場所となることが現実味を帯び、かつてないビジネスチャンスが訪れている。
秋までに策定される新構想が熊本空港とその周辺の活性化をどのように描くのか、熊本県の真価が問われるのはこれからだ。