「熊本空港」活性化、県はなぜコロナ終息待たずに動くのか? 背後にあった4兆円以上の経済効果とは

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熊本県は2023年度、熊本空港と周辺の活性化構想見直しに着手する。コロナ禍で国際線の運休が続くこの時期に、あえて動きだす理由はどこにあるのだろうか。

経済波及効果は10年間で4兆円以上

菊陽町のTSMCの工場予定地(画像:(C)Google)
菊陽町のTSMCの工場予定地(画像:(C)Google)

 TSMCの新工場は、菊陽町原水の約21ha(21万平方メートル)の敷地に建てられる建築面積約7万2000平方メートル。2022年4月から工事に入っており、2023年中に完成し、2024年12月までに操業を開始する予定だ。

 建設現場では、20台近いクレーンが並び、急ピッチで作業が続いている。全国から集められた約2000人の作業員が3交代の24時間態勢で忙しく動き回り、巨大な工場の姿が少しずつ浮かび上がってきた。

 九州ファイナンシャルグループは、関連企業の進出などを含めた熊本県への経済波及効果を10年間で

「4兆円以上」

と推定し、国内の半導体企業など約80社が熊本県に拠点を置くと見ている。さらに、TSMCが日本にふたつ目の工場を建設する計画を持つことから、熊本県は周辺に第2工場が誕生することを期待している。

高騰する工業地基準地価

大津町(画像:(C)Google)
大津町(画像:(C)Google)

 TSMC進出の影響は早くも多方面に見られる。

 熊本県によると、菊陽町の工業地基準地価は2022年、前年を31.6%上回り、全国トップの伸びを記録した。近隣の大津町も19.6%上昇している。

 進出企業がなく、長く塩漬け状態だった工業用地が売れたほか、2022年度に熊本県に進出した企業は2月末現在で50社を超えた。

 熊本市の不動産会社は

「土地の需要に供給が追いついてない。山林が相場の4倍で取引された事例もある」

と話す。

 まさに、かつてのバブル期を思わせる好況が熊本県に押し寄せてきたわけだ。

 この環境変化を熊本地震からの復興と地域の持続的な発展に生かし、地域の象徴である熊本空港を活性化させるのが新構想の狙いとなる。

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