そば屋を超越! 50~60代のリターンライダーに「スーパーカブC125」が人気なワケ

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体力の落ちたリターンライダーが選ぶモデルの最右翼が、ホンダ・スーパーカブC125である。いったいなぜか。

「ライトコミューター」としての役割

出前用のカブ(画像:写真AC)
出前用のカブ(画像:写真AC)

 ちなみに筆者(浅野良、フリーランスノンフィクションライター)の身近にもこうした経緯でスーパーカブC125を購入した人物がひとりいる。

 話を聞けば、モーターサイクルを購入するのは実に三十数年ぶりでいろいろ考えを巡らせた結果、この1台を選択したとのこと。主要な用途は自宅近辺の探索と趣味の食べ歩きの脚という。

 スピードは二の次でOK。ただしスクーターはちょっと好みではなく、できればギアシフト付きがよい。その上で、ライディングポジションは楽で見た目もシンプルかつ上品なのが良いというわけで、スーパーカブC125となった。

 何よりも自身がガンガンに乗っていた1980年代半ば、スーパーカブの使用現場といえば新聞配達やそば屋の出前といった何の変哲もない実用車だった。それに対して、最新のスーパーカブのなかでもトップモデルのC125は往年の面影を残しつつ、ディテールデザインや使用しているパーツのクオリティーとなると、あたかもカスタムバイクの様な質感を備えていることも好ましく思えたという。

 実際、スーパーカブシリーズのなかでC125が担っているのは実用車ではなく、ややノスタルジックな雰囲気を持つ上質な

「ライトコミューター」

というべきポジションだ。

 所有する喜びさえも感じることができるのは、スーパーカブというモデルに新たな魅力がプラスされたことを意味していた。そうした新たなキャラクターの創設が今までモーターサイクルから遠ざかっていた人物を呼び戻す大きな動機になったということである。

125ccクラスとして極めて優秀

スーパーカブC125のLEDヘッドライト(画像:本田技研工業)
スーパーカブC125のLEDヘッドライト(画像:本田技研工業)

 さらに最終的に大きな決定要因となったのは保険、税金などで有利な排気量125cc以下の原付2種だったという点だ。

 これが126ccを超える軽二輪になると、維持費という点で大きくコストが掛かる。そういった意味でもベストな選択だったというわけである。

 一方、個人的な好みとは別に冷静にモーターサイクルとしての性能を見た場合、かつてのスーパーカブとこのスーパーカブC125は、名称と基本デザインこそ変わっていないものの、メカニズムのディテールを見るとまったく別物だということに気付く。

 具体的には、かつてのスチールリムのスポークホイールとチューブ入りタイヤはアルミキャストホイールとチューブレスタイヤに。フロントの機械式ドラムブレーキは油圧ディスクブレーキに。動きがややトリッキーだったフロントのボトムリンクサスペンションはテレスコピックサスペンションに、キャブレターは電子制御燃料噴射にと、主要なメカニズムはすべて変わっている。

 リッター当たり70kmをクリアした優れた燃費はスーパーカブの伝統というべき美点であり、125ccクラスとしても極めて優秀である。

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