EU「ガソリン車35年禁止」という名の狂想曲が始まった! BEV・FCVシフトか全方位戦略か、自動車業界に流れる“経営者受難”の悲しきメロディー

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2023年2月14日に、段階的に自動車の新車のCO2排出量をゼロとする法案が、EU議会で可決された。これにより、2035年以降は、ガソリン車など内燃機関の自動車の販売がほとんどできなくなる。

BEV反対派の主な論点

法案可決のプレス発表(画像:EU議会)
法案可決のプレス発表(画像:EU議会)

 環境保護に強い関心のあるBEV推進派は今回の可決を歓迎しているが、一方で反対派も根強い。

 反対派の主な論点を整理すると次のようになる。

・リチウムイオンバッテリー問題
・中国の覇権
・自動車産業における雇用機会の減少

 リチウムイオンバッテリー問題は、BEVの需要に製造能力が追いつくのかという疑問もあれば、リチウムの製造やバッテリー廃棄にまつわる環境への負荷や航続距離の問題も挙げられている。特に航続距離では、1回の充電で400km走るとされているBEVが、低温になる冬場は約200kmしか走らないため、使い物になるのかと具体的な疑問が投げかけられていた。

 中国の覇権については、年末までに約80車種の中国製のBEVがやってくるという報道も見受けられた。リチウムイオンバッテリーだけでなく新車の販売競争においても、中国に脅威を感じている人が少なくない。

 ヨーロッパの多くの自動車メーカーがBEVを歓迎している理由のひとつに、

「エンジン車よりも部品点数が少なく、労働力の確保が不要になる」

というメリットがある。もちろん、EU議会の中には自動車業界のリストラや雇用機会の喪失を懸念する議員もいたが、奮闘もむなしく可決されたのだ。

 EUの環境保護担当委員である Franz Timmermans氏の「好むと好まざるとにかかわらず、産業革命が始まるのだ」とのEU議会での発言に、議場の空気感が伝わってくる。

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