EU「ガソリン車35年禁止」という耐えられない採択の軽さ 脱炭素で原発対応どうする 結局、中古内燃・HV人気にならないか
急激なEV化への大きな懸念
去る2023年2月14日、欧州連合(EU)欧州議会は2035年までに二酸化炭素を排出するガソリンエンジンやディーゼルエンジンを使うクルマのEU加盟国内での新車販売を禁止、新車販売は事実上EVのみとするという法案を採択した。
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法案は一定の期間を経た後に加盟国の正式承認を経た上で施行されるとのことだが、正直その実現には首をかしげざるを得ない。それはここ数年のEU内における電気自動車(EV)を取り巻く環境を見れば明らかである。
ちなみに、EU諸国内においてEVの存在感が大きくなったのは2020年頃のこととされている。この年、EU内の新車販売におけるEV比率は前年の2.3%から6.3%へと3倍弱へと躍進、さらに翌2021年には
「10.3%」
へと、初めて10%を超えた。この流れを受けて、欧州の自動車メーカー各社は10年後の2030年にはEVが市場のメインとなるに違いないという経営判断の下、大規模な設備投資計画を発表することとなる。
さらに2021年11月には、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の場において、国連に加盟している主要国では2035年まで、その他の国では2040年をめどに販売される全ての新車をゼロエミッション(二酸化炭素の排出量実質ゼロ)とするという共同声明が出され、参加各国代表の署名とともにEVの普及を加速させようという方針が明確となった。EVにまつわる2035年うんぬんはここから始まったと言って良いだろう。
この共同声明には、各国や地域の代表に加えて主要自動車メーカーに対しても署名が求められたのだが、実は主要な全てのメーカーが署名したわけではなかった。理由は急激な流れに対するある種の懸念である。