中国軍迫る! 「台湾退避」タイミング探る日本企業、“脱中国”も加速か
帯同家族の退避、検討

まず、多くの企業が有事に発展する恐れのある「トリガー」(引き金)を見つけようとしている。しかし、これは一種の“予想屋”のような試みであり、当然ながら完全な答えはない。
有事に発展するトリガーとしては、大規模なサイバー攻撃や偽情報の流布、経済制裁の連鎖、台湾政府による独立宣言(現実論では考えにくいが)、台湾海峡付近での人民解放軍の異常な集中または大規模な軍事訓練の常態化などが言われるが、経済制裁やサイバー攻撃などは既に行われており、今日企業の間ではトリガー探しのような現象が生じている。
このような状況で企業がやるべきことは、国際政治や安全保障、軍事、防衛などの専門家の見地を最大限利用し、「ヒトの安全」と「モノの安全」の両面から、リスクを最小化するよう努めることだ。日本企業が台湾情勢で悩む際、こういった専門家たちが企業関係者と同じ部屋で議論をすることはほぼない。今後は、国際政治や安全保障、軍事や防衛の専門家と企業の経営者・危機管理担当者との接近がさらに進むことが望まれよう。
また、トリガーと同様なものであるが、台湾在住の駐在員や帯同家族を退避させるタイミングを企業は探っている。しかし、ここで言えるのは、トリガーが現実に生じてからの台湾国外への退避は、極めて難しくなることだ。
ポーランドなどと陸続きのウクライナと違い、海に囲まれた台湾からの退避は難しく、唯一の安全な退避手段である民間飛行機の運航は、すぐにストップする可能性が高い。事実、2022年8月のペロシ氏の台湾訪問直後、韓国の大韓航空は8月5日と6日の仁川~台湾便の運航を停止、アシアナ航空は5日の台湾直行便の運航を停止した。
有事となれば、中国軍は台湾周辺の制空権と制海権を奪取してくるとみられ、そうなれば日本への安全な退避は難しくなる。企業にとって、進出先から撤退すること、責任者の立場にある駐在員を帰国させることは、決して簡単な決断ではない。しかし、命の危険を脅かす有事となれば話は別で、筆者周辺では、台湾在住の駐在員や帯同家族を退避させるタイミングを真剣に検討する企業が増えているように感じる。
完全な答えは提供できないものの、今後の情勢を考慮し、筆者は帯同家族については「一足早い退避」「平時における退避」を推奨することもある。