高速道路の「通勤割」最大50%オフも、素直に喜べない現実! 経済効果の一方、他の交通機関を圧迫する懸念があった
国土交通省が、地方の高速道路で平日朝夕の通勤時間帯の割引を、休日を含めた毎日24時間に拡大する方針を示した。期待と懸念を解説する。
アクアライン、値下げで成功

しごく単純な話だが、高速道路の料金を下げれば、利用者は増加する。その顕著な例が1997(平成9)年に開通した東京湾アクアラインである。開通を前に、当時の日本道路公団は、普通自動車の利用料金を5050円と高額に設定していた。総事業費が1兆4823億円。1kmあたりに換算すると1000億円余りとなっており、債務の返済が課題となっていたからだ。
しかし、「ここまで高額にすると、開通しても利用する人がいなくなってしまうのではないか」と問題になった。そこで、公団では開通を控えた1997年7月、料金を開通から5年目までは4000円、6年目以降は4900円とすることを決めた。さらに、開通前の限定として前売り券の販売に踏み切ったのだ。これは記念品という建前ではあったものの、3500円で購入枚数は無制限とされた。
この価格設定はかなり冒険的なものだった。結果はどうなっただろう。開通以降、東京湾アクアラインの利用者数は右肩上がりである。1998年度時点で一日あたり1万台だった交通量は2016年度には4万5600台まで増加している。
ここまで交通量が増えた理由は当初の低料金設定に加えて、さらなる料金引き下げが実施されたことに尽きる。2002年度に、東京湾アクアラインでは当初予定していた値上げを取りやめ、ETC搭載車に限って普通車2320円とする値下げを開始した。さらには2009年度以降、国と千葉県の支援による社会実験として、ETC搭載車について800円にまで値下げした。この制度は、現在2025年3月末までの継続が決まっているが、今後も延長される可能性は高い。高額な通行料金を徴収するよりも、できる限り安価にすることで利用者を増やし、収益増を図るのは、ごく自然な選択だ。