江ノ電が71年ぶりの「ダイヤ改正」に踏み切ったワケ 発車時刻は「12分間隔 → 14分」で苦情出ないのか
江ノ島電鉄が3月18日にダイヤ改正を実施する。「71年ぶり」の大規模な変更の背景を探る。
12分間隔→14分間隔に

神奈川県の藤沢市と鎌倉市を結び、多くの観光客に利用されている江ノ島電鉄(江ノ電)が、3月18日にダイヤ改正を実施する。運転間隔を従来の12分から14分に拡大するもので、同社によれば「71年ぶり」の大規模な変更だ。鎌倉や江の島など、沿線に豊富な観光地を抱え、内外から多くの利用者が訪れる江ノ電。観光鉄道の代表選手に、何があったのか。「わずか2分」の間隔拡大ながら、そこにはコロナ禍に伴う需要の急減に直面した鉄道業界の苦境が凝縮されている。
今度のダイヤ改正の主眼は、発車の間隔を広げ、運行本数を減らすことにある。起点の藤沢駅の時刻で見ると、改正前の86本に対し、改正後は75本と12%ほどの削減となる。コロナ禍に伴う終電時刻の繰り上げは2021年に実施しているので、今回は初電、終電の時刻に大きな変更はない。藤沢発でいえば、初電は5時36分発で変わらず。終電も改正前は23時40分、改正後は同42分とほぼ同じである。
だが、沿線住民にとっては、本数削減以上のインパクトを与えている。これまでの12分おきのダイヤが、毎時の発車時刻が同じで覚えやすかったのに対し、14分おきになることで覚えにくくなってしまうからだ。
例えば、これまでの藤沢、鎌倉両駅の発車時刻は、毎時0分、12分、24分、36分、48分の繰り返しで、単純明快だった。それが改正後になると、8時10分、24分、38分、52分、9時6分、20分、34分、48分…のように、まちまちになってしまうわけだ。「待たずに乗れる」という以上に、沿線住民に浸透しきっていた「記憶に染みついたダイヤ」。それを手放してまで、ダイヤ改正に踏み切る鉄道会社側の事情とは、どこにあるのか。