江ノ電が71年ぶりの「ダイヤ改正」に踏み切ったワケ 発車時刻は「12分間隔 → 14分」で苦情出ないのか
江ノ島電鉄が3月18日にダイヤ改正を実施する。「71年ぶり」の大規模な変更の背景を探る。
混雑のあまり社会実験も

列車遅延の要因は、この併用軌道だけではない。戻り始めた観光客の集中も挙げられる。週末の日中の鎌倉駅では、発車を待つ利用者がホームを埋め、立すいの余地もないほどの混雑になる時間帯もある。思い出されるのは、2017年から毎年、ゴールデンウイーク中に実施されてきた「社会実験」だ。
コロナ禍前の鎌倉において、ゴールデンウイークは観光客が集中し、江ノ電の混雑が年間で最も激しくなる時期だった。鎌倉駅では、江ノ電に乗ろうとする利用者が駅の外にまで行列し、その長さは100m以上に。沿線の住民が乗りたい時に乗ることができず、問題となっていた。
こうした問題を受けて鎌倉市が実施した「社会実験」は、「沿線住民の移動円滑化」を目的に、住民に対して「江ノ電沿線住民等証明書」を発行。住民は、この証明書を改札口に提示すれば、優先入場が可能になる仕組みだった。コロナ禍前の江ノ電では、実際にオーバーツーリズムが社会問題化していたわけだ。
こうした混雑期には同時に、江ノ電の遅れも常態化していた。数分の遅れが十数分、二十数分に増幅。運転間隔が12分なので、見かけ上は定刻でも、実際には「12分遅れ」「24分遅れ」ということもしばしばあった。本来走るべき列車が、遅れに遅れて「消えて」しまったことになる。
コロナ禍においては、社会実験は実施されていないが、観光目的の訪日が解禁されて以降は、インバウンド(訪日外国人客)も復調の兆しを見せている。人気アニメに描かれ国内外のファンから「聖地」とされている鎌倉高校前駅近くの踏切は、多くの外国人客でにぎわう。「回復力」のために間隔を広げられたダイヤが奏功する機会が、もうすぐ訪れるのだろうか。