江ノ電が71年ぶりの「ダイヤ改正」に踏み切ったワケ 発車時刻は「12分間隔 → 14分」で苦情出ないのか
コロナ禍で乗降客が半減

しかしながら、混雑が激しいのであれば、増発や増結といった対応もあり得ただろう。ここに、今回のダイヤ改正に対する江ノ電の苦心がうかがえる。
もともと、江ノ電は観光客を中心とした定期外旅客に支えられてきた。2019年度の実績では、定期旅客人員が620万4000人だったのに対し、定期外旅客人員は1251万人と倍を占めていた。この構図が、コロナ禍によって大きく変わってしまった。
江ノ電は詳細な統計を出していないが、鎌倉市の統計によると、江ノ電鎌倉駅の乗降客数は、コロナ禍前の1007万人(2018年度)に対し、コロナ禍では半分以下の488万人(2020年度)にまで落ち込んだ。極めて大きな打撃である。
こうした状況を踏まえ、江ノ電は2022年9月に鵠沼(くげぬま)、極楽寺の2駅を、駅員が終日不在の無人駅にした。1日の乗降客数は、極楽寺こそ約1800人と多くはないが、鵠沼は藤沢市郊外の閑静な住宅地で、1日当たり約4300人(15駅中8位)を数える。それでも踏み切られた無人化に、固定費の削減を推し進める江ノ電の実情がうかがえる。
ダイヤ改正によって約12%の列車本数が削減されれば、少ない車両数で運行を賄うことができるし、各車両の走行距離が低減することで老朽化を遅らせることもできる。
江ノ電といえば、1960年に登場した旧型車両「300形」が、今も代表的な車両として、メディアや広告に数多く登場する。緑とクリームのツートンに塗られた姿はどこか懐かしく、昭和の鉄道を思い起こさせる。とはいえ、それ以外の車両が新しいわけではない。
最も数の多い「1000形」のグループは登場から35年~40年以上も経過しているし、最新の「500形」も、登場から既に15年以上が経過した。延命工事を施しながら使用しているとはいえ、近い将来、相当数の車両の取り換えを検討しなければならない。
愛嬌(あいきょう)ある小柄な車両が、年間1800万人もの人々を運んできた観光鉄道の代表選手、江ノ電。沿線に多くの観光地を持つ恵まれた経営環境にあっても、コロナ禍や人口減少、そしてインフラの老朽化という、鉄道事業者が共通して直面する課題からは逃れられないのである。