日本の秘刀「水素エンジン」、BEVごり押し欧州の“ちゃぶ台返し”をさらにひっくり返せるか? トヨタ「80点主義」超越の彼岸とは
世界では、「ポスト内燃機関 = バッテリー式電気自動車(BEV)」という認識で、欧州メーカーと国策が一体化して動いている。そんななか日本の自動車業界はどう戦うのか。
暗礁に乗り上げたカーボンニュートラル

さらにトヨタも、これまでに水素エンジンを搭載した車両をサーキットで走らせたほか、最近では、漫画『頭文字D』で登場したAE86スプリンタートレノのガソリンエンジンを水素エンジンに積み替えしたモデル「AE86 H2 Concept」を東京オートサロン2023に出展するなど気合も入っている。
日本車は信頼性も高く10年以上簡単に使用できるため(商用車ならより長い)、2050年までに、新車をすべてBEVで販売し、すでに街の中を走っている車までBEVに入れ替えることはほぼ不可能に近い。日本政府が掲げた2050年のカーボンニュートラルは、すでに半分暗礁に乗り上げていると言っていいだろう。
しかし、ガソリンエンジンから同系統である水素エンジンに入れ替えるというのであれば、かなりコストが安くあがる。トランスミッションも残るのでクラッチやシフト操作も残るので運転する楽しみが残る。つまり、既存のガソリン車をカーボンニュートラル対応に切り替えるには、水素エンジンの方は親和性が高いのだ。
豊田社長は
「多くの自動車メーカーが、2030年から40年頃をターゲットにバッテリーEVへのシフトを目指している。ところが現実には、これから売り出す新車をEVにするだけでは2050年のゼロカーボンは達成できない。保有車…すでに誰かの愛車になっている車にも選択肢を残していくことが大切」
と遠回しにコンバート(変換)する必要性を訴えた。