赤字ローカル鉄道「税軽減措置」という名の最後通告 人口縮小・経済圏消滅のダブルパンチ、2023年が正念場か?
ローカル鉄道の存続か廃止・バス転換かの問題が注目されている。固定資産税軽減措置も検討が進められているが、その真意とは?
2023年が正念場?
ただ、どんなに税金を割り引いて経営努力をしても、無理なものは無理……という鉄道会社もある。例えばJR四国では、いまだに年間12億円余りの税金が減免されている。同社の場合、分割民営化後は赤字経営が確定していたため、国から交付された経営安定化基金2082億円の投資益で、路線を維持することをもくろんでいた。しかし、これは金利の低下で完全に破綻した。
経営努力をしようにも、2000年代以降、高速道路が整備された四国では、高速バスが圧倒的に普及しており、どうやっても乗客の確保は難しい。同社でもホテル経営やマンション分譲などさまざまな事業による収益確保を図っているが、エリア内に政令指定都市が存在しないなど、背景となる地域経済の小ささが経営安定を遠ざけている。
苦境に陥っている鉄道会社の多くでも、沿線住民が利用するしない以前に、そもそも地域の人口が縮小し、経済圏が消滅しつつあるところも見られる。結局、税軽減は「今のうちに将来を考えろ」と促すための措置ともみることができる。2023年以降、ローカル鉄道は、さらに真剣に将来像を考えなければならない。