トンネルの「4割以上」は老朽化! 橋はさらに深刻、慢性的な技術者不足で もはや不要インフラを葬り去る時代か

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日本各地で、インフラの維持管理が深刻化している。道路や上下水道、橋、送電線、ダム、公共施設など、あらゆるものの老朽化が著しいのだ。

技術者の慢性的な人材不足

地方の古い橋のイメージ(画像:写真AC)
地方の古い橋のイメージ(画像:写真AC)

 さまざまなインフラが一斉に老朽化を迎えており、補修が追いついていない。とりわけ、地方自治体の管理物は深刻だ。

 国土交通省によると、2021年度末現在で市区町村が管理するトンネルのうち、「緊急」または「早期」に修繕すべきだと判定されたものは全国で776か所あり、このうち

「半数は手つかず」

になっている。

 笹子トンネルの事故以降、2014年には国土交通省が「インフラ長寿命化計画」を提示するなど、維持補修の重要性は意識されるようになり、国が地方自治体に費用を補助する制度も整備された。それでも補修は停滞しているのだ。

 なぜか。それは

「費用以外にも問題がある」

からだ。

 もっとも深刻なのは人材不足だ。例えば国や自治体は笹子トンネルの事故以降、2014年から5年に一度、橋やトンネルの点検を義務づけた。これは技術者の人力に頼る部分が大きい。

 トンネルの点検作業では、点検用ハンマーで作業員がコンクリート壁を打つことを繰り返す。壁のなかに空洞があると、ほかの場所と打った音が異なるため、音を聞き分けて判別する。こうした技術のある人材を育成しなければ、インフラの維持補修は不可能なのだ。ところが、建設業界は人材不足だけでなく高齢化も進み、建設業の就業者の約25%は60歳以上となっている。

 というわけで、維持補修は全く追いついていない。2022年3月時点で、2014~2018年の点検後修繕(一巡目)が必要とされた全国のトンネル4410か所のうち、3割は修繕が完了していない。

 また、2019~2023年度の予定で組まれている二巡目の点検の進捗(しんちょく)率は橋が6割、トンネルが5割にとどまっている。2023年度末までにすべての点検が達成できるかは不透明なままなのだ。

 さらに地方自治体では、修繕の補助金が得られてもそれを民間業者に割り振って事業をまわすための人員も足りない。全国の市町村で、土木系の技術系職員が5人以下の役所が約半数となっているからだ。結果、都市部に住む人にとっては信じられないだろうが、地方では老朽化のため、通行止めになっている橋も少なくない。

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