公用車はなぜ「センチュリー」一択だったのか 過去20年で大変化した車種、そもそも高級車の必要性はあるのか
貴賓車と公用車
山口県は2020年、皇室関係者が来県する際に使用する貴賓車(きひんしゃ)を2090万円で購入した。しかし、皇族関係者が来県する機会はそれほど多くなく、地元住民は無駄な支出にあたるとして知事に対して損害賠償を請求。このほど、山口地裁は村岡嗣政知事に対して全額の賠償責任を認める判決を下した。
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同訴訟は、山口県がセンチュリーを購入したことから、「センチュリー訴訟」と呼ばれる。同判決により貴賓車のみならず、今後は
「公用車の購入」
に対しても厳しい目が向けられるのではないかとの観測も強まっている。仮に公用車を税金の無駄遣いと断じられたら、その衝撃は貴賓車とは比べ物にならない。なぜなら、貴賓車と比べて公用車の数は圧倒的に多いからだ。
公用車と一口にいっても、利用者はさまざまで、その使用にも濃淡ある。例えば、首相や大臣と呼ばれる閣僚、そのほかにも政務三役と呼ばれる副大臣・政務官も公用車を使用する。そのほか、衆参議長や委員会委員長、そして一般の国会議員にも公用車が衆参両議院に割り振られて日常的に公用車が使用できる。
国会議員ばかりではない。都道府県知事や市町村長、地方議会の議長にも公用車が用意されている。これら地方自治体の公用車は、条例や各自治体が定めるルールで使用が決められているので、ほかの自治体と違う運用がされているからといって一概に不正使用だと断じられない部分がある。
これら公務で使用する、公金によって購入や整備・維持費用を賄われる自動車は一律に公用車と呼ばれる。先の山口県の件は、貴賓車だから公用車と事情が多少は異なる。しかし、名目としては貴賓車で購入したのだろうが、貴賓車を使用する機会は少ない。公用車として併用することも想定され、実質的には公用車として使用を念頭に置いていたのではないかと思われる。