公用車はなぜ「センチュリー」一択だったのか 過去20年で大変化した車種、そもそも高級車の必要性はあるのか
政治家の車といえば公用車。一口にいっても利用者はさまざまで、首相や大臣と呼ばれる閣僚、そのほかにも政務三役と呼ばれる副大臣・政務官も使用する。
国会議員「ひとり1台」ではない現実
常に高級車の公用車を乗り回しているイメージが強いが、実のところ国会議員はひとり1台分の公用車は用意されていない。
国会議員の定数は衆参あわせて700だが、公用車の総数は203。正副議長や各種委員会委員長が優先的に公用車を利用できる立場にあり、残りの公用車を各政党の人数で割り振っていく。数字だけで単純計算すると、ふたりに1台未満の台数しかない。多くの国会議員は公用車を乗り回していないことが数字から浮かび上がってくる。
各党に割り当てられた自動車を、誰が、どう使うのかといった細かい運用面は各党の裁量による。一般的に党代表や幹事長などが優先的に使用していると思われるが、期数が多い大物議員にどう処遇するのかは各党にとって悩ましいところだろう。そのため、公用車でなく党が用意した車を使うこともある。このあたりは弾力的(という名目の曖昧な)運用がなされていると考えられる。
国会議員に用意される公用車は、当然ながら仕事に使うことが大前提だ。しかし、政治家に営業時間や就業時間という概念はない。24時間365日、常に政治家としての責任が伴う。
そのため、どこからが職務で、そこからが私用にあたるのかが判然としない。このあたり、永田町取材を15年続けている筆者でも、明確に線引きすることはできない。首相が財界人と高級料亭でメシを食べていても、それは会食という名目になり“仕事”と解釈することもできるからだ。